不登校の子、高校受験に調査書の壁 特別枠設ける自治体も #令和の子
ところが5月、思わぬことが起きた。その日、日直の仕事を忘れたことで、七海さんは担当教員に厳しく叱責された。教員は七海さんに発達障害があることを知らない人だった。それを機に、七海さんは再び学校に通えなくなってしまった。 調査書がどうなるのか、親子で心配しているとめぐみさんは言う。 「このままでは調査書は悪くなるかもしれず、そうなると高校入試に響くのではないかと思っています。娘が行きたい高校に行くにはどんな努力が必要か、三者面談で先生に聞きたい」
不登校で不利になる高校受験の調査書
中学校から高校受験をする際、入学の選考で重要な資料となるのが中学校から送られる調査書だ。 調査書とは、「進学のための入学試験や就職に当たり、在籍校から受験先等に対して生徒の学習状況を伝えるために作成する書類」(文部科学省)のこと。中学校では、国語、数学、保健体育、美術など必修9教科の内申点が書かれている。部活動や生徒会活動を記入する欄もある。 調査書は受験する高校に送られ、合否判定の資料になる。ただ、調査書の書式や入試で何をどれぐらい重視するかなどは、都道府県によって異なる。都立高校の場合、入学試験の点数7、調査書3の比率の1000点満点で評価する学校が多い。
調査書の内申点は、中学校教員にとっては別の意味がある。東京都教育庁の入学者選抜の担当者は「調査書は入試で活用しますが、内申点そのものは中学校で生徒の授業の理解度を把握し、日々の授業をよりよいものにするためのものです」と説明する。 中学生にとって調査書はプラスにもマイナスにもなる。定期テストの結果のほか、学習態度や提出物も評価されるため、真面目に取り組む生徒にはプラスだが、そうではない生徒にとってはマイナスになる。一方、調査書があることで受験校を決めるときに無理のない進路選択ができる。 ただ、そこで悩ましい思いを抱えているのが、不登校の生徒たちだ。 生徒が自宅で勉強をし、外部テストなどでよい成績を収めていたとしても、教員が校内での学力を把握できないと調査書の内申点は低くなる。当然ながら不登校の生徒にとって、高校受験は不利になる。