夫、義母、愛犬を6年間で見送った67歳イラストレーター。もし、私が夫より先においとましていたら…三者三様の最後を振り返って思うこと
◆2017年夏、夫を見送る 私にとって2017年の夏ほど暑かった夏はない。アスファルトの道路、地下鉄に乗って病院通い。 夫は2017年の春からググッと体調を崩し白血病をわずらい、大健闘もむなしく意識をなくした日から顔に人工呼吸器のマスクをつけられた。 私も夫といっしょに機械のリズムに合わせて息をしてみたら、とても苦しくなった。 人っていつもはそう規則正しく安定した呼吸などしてないのだろう。ため息とか吐息とか浅い深いなど、おかず的呼吸があってこそきっと肺も心地よく活動できるはず。 7月7日の明け方、夫からマスクが外された。 ああ、これであの苦しい呼吸から解放されるんだなとほっとしたのを覚えている。良かったと思った。
◆三者三様、最後の姿 義母さんが逝ったのはポカポカした春の午後のこと。遊びに来ていた小さいひ孫らの側で眠ったまんまで。 息子に遅れること4年、やっと後を追えた。 先生が死亡証明の書類を記入しながら「在宅で、それも老衰で亡くなるなんてすごいことなんだよ」と言ってくれた時、また畑の仲間からの「97歳だとぉ? 昔なら赤飯炊くようなこった」との言葉にはグッときた。 夫、義母、愛犬。三者三様の亡くなっていくまでの最後の姿を私に見せてくれたんだと思う。 オマケだけど、義弟のお葬式もこの間に挟んでいる。夫と折り合いが悪く付き合いが薄かった義弟だったけれど、義母の納骨と時同じくして壺を並べ墓に納めた。 時々思うのだ、私が夫より先においとましていたら? 残された夫は母親やスーの面倒やらなんやらを、仕事と両立して首尾よくやれたのかな? と。 まあ子どもらと協力してなんとかこなしたとは思うけど、でも私の方でゼッタイ良かったんだと信じたい。残った者のプライドとしてね。 ※本稿は、『ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
本田葉子
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