“最強”と“最弱”。サプライズな躍進を遂げたベネズエラとカナダは、確かな手応えとともに未来へ向かう【コパ・アメリカ戦記】
冗舌なマーシュ監督、“バティスタ・マジック”は不発
決勝トーナメントに進んだ8か国のなかで、ベネズエラはグループステージ3戦全勝、得失点差5、総得点6で最高成績。一方のカナダは1勝1分1敗、得失点差-1で、最低成績である。 【PHOTO】華やかで可憐なスタジアムの華!EUROで躍動する名手たちの妻、恋人、パートナーら“WAGs”を一挙紹介! コパ・アメリカ2024準々決勝の舞台で顔を合わせた両者は、しかし、対照的な勝ち上がり方でここまで駒を進めてきた。 それでも結果はグループステージの成績どおりにはいかないのだから、一発勝負は面白く、また難しい。 会場のムードは、完全にベネズエラのホームだった。 ベネズエラの記者曰く、公式入場者5万1080人のうち、「5万人がベネズエラのファン」。それはさすがに大げさだとしても、比率で言えば、どう見ても8対2は下らなかった。 だが、そんな雰囲気は意に介さず、ピッチの上では、カナダがほぼ90分を通して主導権を握り続けた。 13分、右サイドをドリブルでえぐったジョナサン・デイヴィッドのクロスを、逆サイドから走り込んできたジェイコブ・シャッフェルブルグがニアで合わせて先制。それは決してワンチャンスをものにしたものではなく、カナダ優勢の時間帯に生まれるべくして生まれたゴールだった。 その後も攻勢を続けるカナダは、64分にサロモン・ロンドンの同点ゴールを許してもなお、気落ちすることもなければ、慌てることもなかった。 カナダのジェシー・マーシュ監督が振り返る。 「私たちは、自分たちがやりたいプレーをするための攻撃性を作り上げてきた。そして、ベネズエラを限界に追い込むことができた。ベネズエラは良いチームだが、私たちのチームのスピードと運動能力は素晴らしかった。1-1になっても私たちはより強く押していたし、2-1にできなかったのは少し運が悪かったが、より強く戦い続けることができた」 結局、カナダは多くの決定機を活かせず、1-1のままPK戦に突入してしまうのだが、PK戦ではその勢いのままにベネズエラを押し切った。 会心の勝利にマーシュ監督も冗舌だった。 「PK戦はコイントスのようなものだが、今日は私たちのほうが優れており、勝ちに値するチームだったと思う」 とはいえ、“最強”と“最弱”という対照的な顔合わせは、視点を変えれば、今大会でともにサプライズと言ってもいい躍進を遂げた国同士の対戦でもあった。 ベネズエラのフェルナンド・バティスタ監督が語る。 「どの試合も90分では負けなかった。今日(カナダ戦)の敗戦もPK戦によるものだ。もちろん、何かを学び、何かを修正する必要があるが、私はすべての選手をとても誇りに思っている」 今大会では的確な采配で際立っていた指揮官だったが、この日ばかりは“バティスタ・マジック”も不発。それでもベネズエラ・メディアからは好意的な声が多く、だからこそ、バティスタ監督は確かな手応えとともに、未来へ向かう。 「これは長いプロセスだ。私たちには大きな夢がある。ベネズエラの人たちはワールドカップへの出場権を獲得したいと考えており、コパ・アメリカは私たちに可能性を与えてくれた」 それは、カナダのマーシュ監督にとっても同じことだ。 「私たちは(準決勝のアルゼンチン戦を)アグレッシブに戦う。ただ後ろに下がって守備に徹するつもりはない。自分たちがやりたいようにプレーし、それで持ちこたえられるかどうかを見極めようと思う」 今大会で再びアルゼンチンと、しかも準決勝で対戦できることに、「興奮はしているが、満足はしていない」と語るマーシュ監督。最終目標はまだ先にある。そう言っているようでもあった。 取材・文●浅田真樹(スポーツライター)
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