「バイト禁止」を変えたら公立大学への進学が増えた!
第4回 テーマ
「ルールのために人はなく、人のためにルールはある」
「学校文化は変えられる?」社会の風をとらえて変える
「伝統文化」、「慣習」。長く続けば続くほど、これらを持ち合わせた学校は多いと思います。昨年の10月頃より徳島に移住して新しい学校の立ち上げ準備、開校後も約半年間学校作りをしてきた中で、今までの学校で経験した「伝統文化」や「慣習」について大変考えさせられました。「だからどの学校もこうなっていたのか、よくできたもんだ」とリスペクトの気持ちを抱く時もあれば「あのルールはなくてもよかったのかも」と再認識をする瞬間もあります。 こんなお話をすると「新しく学校を作るでもしないと学校文化は変えられないのか?」と言われてしまいそうです。私は決してそんなことはないと考えています。これも前職の鳥取時代の事例ですが、私は幸運にも学校の「慣習」をひとつ新しい形に作りかえる経験に恵まれたことがあります。なぜ「幸運」という表現を使っているかというと、「ルール」はその時の社会に合わせてできるもの、つまり「タイミング」が合えば動かすことができるものだからです。
「社会のボトルネックがまさかの学校?」担任業務と地域連携のクロスポイント
鳥取で担任をしていた時に、保護者面談でとても印象的なことがありました。私のクラスに当時のAO& 推薦入試での進学を希望する家庭が多く、「とにかく地元の国公立大学に行かせて欲しい」という台詞を何度も聞いたことです(とはいえ鳥取には国立1校、公立1校しかないのですが)。理由は共通していて、「県外に送り出す」あるいは「私立大学に行かせる」お金がないということです。兄弟が多いなど理由は様々ですが、人口最少の地でもある鳥取は都道府県別の平均年収ランキングでも下から五指に入るほどでもあるので無理もないことです。 この進学格差に思い悩む一方で、 総合探究の時間などのために地域の事業者と関わる中で「働き手がいなくて困っている」「若い人との接触機会がない」とよく聞いていました。鳥取の多くの学校では特別家庭に事情がない限りアルバイトを認めない傾向があり、そもそも若い働き手の母数が少なかったのです。私の中でこれらが結びつきます。「あれ? これらって同時にアプローチできるのでは?」。