【全文】ノーベル医学生理学賞の大村智氏「全て微生物がやっている仕事」
ゴルフ場の土から見つけた?
フジテレビ:すいません、フジテレビのタナカと申します。あらためて、ノーベル賞受賞おめでとうございます。 大村:ありがとうございます。 フジテレビ:大変不勉強なところもあるんですけれども、今回のノーベル賞の受賞に関連して、そもそも土というのはゴルフ場の土から見つけたみたいな話をちょっと聞いているんですけれども、なぜゴルフ場だったのかというの、プラス、それ恐縮ですが、ゴルフのプレー中に見つけたのかということも併せてお聞きしていいですか。 大村:これはね、われわれが土を採りに行くときはわざわざどこへ行ってっていうんではなくて、絶えず、今回は例えば南の島へ行ってサンプルを集めてこようとか、そしてグループでだいたい2、3人で出掛けて歩くわけですね。それで見つかったのが、たまたま伊東市のゴルフ場、伊東市、川奈ってあったんですよ。伊東市川奈のゴルフ場ですよね、まさに近くが。それで、そういうあれが生まれてきてるんですけども実際は、伊東市川奈までは分かってるんです。で、ゴルフ場っていうのはあとはまあ、お遊びですね。皆さんが想像たくましく、大村のやつはゴルフるやるためにはそういう口実を持ってやってるんだとかですね、言われながらやってましたけども。そのくらいいろんなところに可能性を考えて、歩いてやるわけです。 今でも私は財布の中にはビニール袋を持ってます。これやと思うと持って来て、それで研究室行って、その担当の者に、これはこういういわれのものだからやってくれとか言って、いまだにお願いしています。 フジテレビ:なぜでもそのゴルフ場にピンときたんですか、先生は。 大村:ゴルフ場だからじゃない。あちこちから集めた中にたまたま、毎年われわれのグループっていうのは2000株とか3000株、それを培養にかけるから、だいたい4000とか6000とかっていう培養液についてチェックしてるわけですよね。ですからその中の1つっていうことなんですね。幸いのことにして、われわれが見つけたその菌というのは、一時このキャンパス、このキャンパスに見つけた菌しかなかったんですね。 フジテレビ:先生の名誉のために、もちろんプレー中にたまたまではないわけですよね。 大村:いや、もちろんプレーしながら採ってきたのもありますよ、菌を。カリフォルニアのね、今、市のあれがあるからそういうことができないんだけど、当時は、自由だったころは、カリフォルニアのゴルフ場で靴、整理しようと思ったら靴の底に土が付いてるじゃない。それを持って来て帰ったってこと、ありますよ、そういうこともね。 フジテレビ:先生最後に今日、会見場の後ろのほうには若い学生たち、多く詰めかけてますけども、ノーベル賞を受賞した身として、あらためてそういう学生たちに今言えること、どんなことでしょうか。 大村:いろいろやりたいことはあると思うんですけども、なんと言うかな。これやると失敗するんじゃないかとか、これやると失敗するじゃなくて、そういうことはもうあれして、失敗してもいいからやってみようという気持ちが絶えず起こさなきゃなんない。だから、成功した人、私は自分でも自分のことでも言えると思う、成功した人はね、あんまり失敗言わないんですよ。だけど、人よりかも倍も3倍も失敗してると思います。へましてると思うんですよ。そういう中から成功のあれが出てくるわけですから。だから1回、2回失敗したからってどうってことないよと、若いころは。とにかく失敗繰り返して、やりたいことやりなさいっていうようなことですね。そう言いたいと思います。 フジテレビ:ありがとうございました。 司会:はい。それではじゃあそちらの。