【全文】ノーベル医学生理学賞の大村智氏「全て微生物がやっている仕事」
静岡・川奈の土はほかとどう違う?
静岡新聞:静岡新聞のナカガワと言います。こちらです。このたびはおめでとうございます。 大村:ありがとうございます。 静岡新聞:すいません、先ほどの伊東市のゴルフ場の関係で少しお聞きしたいんですけれども、不勉強で大変恐縮なんですが、その川奈のゴルフ場の土というのは、どうほかの土と違うのかといいますか、採取? 大村:あのね、われわれがそういうサンプル、土壌採取で歩くときにはあらゆる可能性、そこで考えられるあらゆる可能性を考えて試料を採るわけです。だから川奈の土っていうのが、採ったっていうころには、川奈のなんて言うかな、土がほかと見てどうだろうかとか、もちろんそういうことを考えますけど、まずはランダムにいろんなところをなるべく、可能性を広く取りながらやります。 同時に とにかく年間、土壌から2000株、4000株というような菌を分離していくわけですから、これ、1人でやると大変ですよ。これ、みんなでもってやるからできるわけですね。そういう共同研究体制をきちっと組めたっていうことが、私にとって非常に幸せだったと思います。 またよく皆さんが働いてる。働くといったら、研究熱心で、本当にみんながいいものを、こういう盛り上がりが結果的には新しいものを次から次に見つけると。今までも少し、10種類近くは必ず新しいもの見つけてます。 静岡新聞:その土の中から、特効薬につながる物質を発見したときのその気持ちというのは、どういう気持ちがございましたか。 大村:菌を分離したばかりのときは、まだまったく分かりませんよね。それが流れていって、何年か後にかかってくるわけですよ。そうしますと、これはどこから採った土かと、どこのサンプルだろうと。誰が採取してきたんだろうかと、調べてそれが初めてそこで分かる。採ってからは5年、6年も経ちますから、そういう研究なんですよ。1人でできる仕事じゃありません。 これは私は、日本人に向いてるんじゃないかって気がしますね、こういう研究のやり方が。ある国のなんかもね、俺がやったんだ、俺がやったんだのばっかしの人たちが集まってくると、そういう共同研究できません。みんなで誰がやったか分からんけども、みんながやった結果を喜ぶ、みんなで喜ぶという、そういう研究ができたということですね。 静岡新聞:もし当時行った、そのゴルフ場の名前を覚えていたら教えてください。 大村:なんて? 男性:ゴルフ場の名前が分かれば教えてください。 大村:私がその名前を言うとね、本当にね、あれはゴルフいう、言い訳にね、ゴルフ場で採ったんだって言うんじゃないかと思うんですよ。静岡県の伊東市川奈ですね。私がゴルフやりたくてそういうこと言うわけじゃない。本当にそっから採ってきた土でね。 静岡新聞:ゴルフはお好きなんでしょうか。 大村:はい。 静岡新聞:すいません、ありがとうございます。 司会:それでは時間の関係もありますんで、最後の方ということで。じゃあ、真ん中の眼鏡掛けた、白いシャツの方。