政治的なシーンでの インフルエンサー 活用は抑えるべきなのか? 重要なのは広告塔と消費者に対する理解
記事のポイント ブランドは選挙期の政治的リスクを避けるため、インフルエンサーとの関係を慎重に管理する傾向が強まっている。 インフルエンサーの人柄やオーディエンスの期待を把握し、信頼を築くことが反発を回避する鍵となる。 問題発生時に備えた柔軟な戦略と迅速な対応が、ブランドの信頼を維持する上でますます重要になっている。 ブランドはインフルエンサーに政治的な態度を取らないよう求めるとともに、インフルエンサーマーケティングキャンペーンを一時停止する「暗黒期」を米国大統領選挙の前に計画していた。 選挙後の世界でも、これが新たな行動規範となりそうだが、インフルエンサーマーケティングとエージェンシーの幹部は、マーケターがインフルエンサーとの関係を完全に中断するのではなく、インフルエンサーとの関係をより良く知るという新しい時代が来ると確信している。 インフルエンサーマーケティング企業のオブビアスリー(Obviously)でバイスプレジデントを務めるライアン・ジン氏は、「クリエイターの役割は、今後さらに大きくなる一方だろう」と言い、「インフルエンサーやクリエイターと協力して、メンタルヘルスや経済的な懸念、市民活動などに取り組むことで、ブランドは存在感を示し続けながら、政治的なバイアスを避けることができる」と話す。「(選挙のたびに)目立たないようにしているようでは、ブランドの将来に向けた準備にはならないかもしれない」。
広告塔であるインフルエンサーを理解すること
一方で、米DIGIDAYが話を聞いたインフルエンサーマーケティングとエージェンシーの幹部6人は、マーケターがインフルエンサーやクリエイター(とそのオーディエンス)を理解して精査すれば、選挙期間中であってもパートナーシップを維持できると考えていた。彼らはこの戦略が、マーケターが恐れる(あらゆる種類の)反発を和らげるのに役立つと信じている。 ハバス・ニューヨーク(Havas New York)のソーシャル部門責任者であるブランドン・ソリス氏は、電子メールに次のように書いている。「政治にまったく言及しないことは不可能に近い。何も言わないことも時として発言になるからだ。我々がクリエイターやインフルエンサーと仕事をする際に心がけているのは、彼らがどんな人物なのかを360度理解することであり、それはソーシャルチャンネルに投稿される内容だけにとどまらない」。 選挙中はとくに政治的な不安要素が多い時期であり、マーケターからの反発を恐れる気持ちが強まる。インフルエンサーとの協働に対する否定的な反応がブランドにどのような結果をもたらすかは、バドライト(Bud Light)の一件で経験済みだ。 広告エージェンシーであるバーバリアン(Barbarian)のアカウントディレクター、アリアナ・コックス氏は、「クリエイターのスペースは常に複雑だ」と言う。「単なるメディアバイではなく、彼らはブランドの広報係として雇われている。(中略)私の最大のフィルターは、そのクリエイターへのオーディエンスの期待、彼らのコアなフォロワー、そのクリエイターからのコンテンツへの期待を理解することだ」。