シングル女子、老後はどこに住む?地方出身バリキャリ、60歳定年で親元にUターン予定。東京にいる理由もないし、燃え尽きて「健康的に暮らしたい」
◆リタイア生活は犬と、家庭菜園などモノ作りを楽しみに ケイさんの実家があるのは、九州の県庁所在地の市郊外。空港からはタクシーで1時間強。最寄りのJR駅からもタクシーで約10分。父(86)も母(84)も元気で、介護認定も受けず、いまだに運転もしています。 「田舎だからどこに行くにも車が要る」と言いつつ、ケイさん自身はタクシーで済ませるつもりです。実はケイさんは運転免許を持っていません。高校の途中でアメリカに留学し、帰国後は東京の大学に入り、卒業後も東京で働いてきました。車は不要でした。いまさら運転は恐いので、免許は取りません。電動自転車があれば日常生活は不自由しないと、ケイさんはみています。スーパーもすぐ近くにあり、歩いても行けます。 ケイさんはエネルギッシュで快活で、見た目は40代で通用します。60歳で退職したとして、まだ何かできそうです。九州で何をするんですか? 「健康的な生活がしたいなと思って。もともと元気なんですけど、ちょっと疲れちゃったので。仕事を辞めたら、一戸建てで犬を飼います!」 実家ではかつて犬を飼っていました。近所からもらってきた雑種犬です。このところ、ケイさんは自分でも保護犬を飼いたい、と思っていました。でもいま住んでいる都心のマンションは管理規約で小型犬しか許されていません。ケイさんが飼いたいような雑種の大型犬は飼えません。そもそも、仕事が忙し過ぎて、犬の面倒どころか自分のケアもする暇がないくらいです。犬と暮らすのは「老後の夢」でした。 それに、「野望があるんです」と、ケイさんは微笑みます。実家の敷地内の小さな家庭菜園で、自分の食べたい野菜作りにチャレンジしたい、というのです。商売ではなく、自分が食べる分だけ、作ってみたい。獲れたての島野菜や、京野菜の万願寺唐辛子なんかを肴に、週末には、ゆったりと晩酌をしたい。それが、ささやかな「老後の野望」だそうです。 「最近、モノを作ったり、育てたりするのが楽しいんです」。コロナ下ではミシンを買いました。通勤時間が浮いた分、自分で考えてギャザースカートなど洋服を作ってみました。そんな手仕事も、時間ができる退職後にはもっと楽しめるでしょう。なんとものんびりしたリタイア生活になりそうです。