元兵庫県会議員が提言する、四面楚歌の斎藤元彦知事に残された「新党結成」とは異なる意外すぎる一手
斎藤知事は新党結成ではなく維新と共闘すべき
さて、根深く存立している「組織の論理」を、SNSを味方につけて覆したのが斉藤知事である。無論、百条委員会ですべてが明らかにされ、「問題なし」となることが前提だが、今後、斉藤知事はどう行動すべきなのか。筆者は、維新の会所属の県議が、カギを握っているとみている。 斎藤知事の不信任案において、改革派であった維新議員までもが賛成票を投じたことは、大きな失策だったと思う。この判断に関しては、維新の会代表の吉村氏洋文氏も、百条委員会そのものの存在意義に疑念を示す発言をしており、議会の自主解散も求めはじめている。 私もこれには賛成で、維新としてこの事態を収拾し、党の信頼を回復するためには、維新議員が議会解散を積極的に提言するという思い切った行動が必要だろう。 議会解散を求めても、「伏魔殿の構造」に組み込まれた一部の勢力が、これに賛同する可能性は低い。選挙は政治家にとって生命線である。現職議員の再選が確実でない限り、議会解散に同意することは極めて難しい。 しかし、これは維新にとっては好機である。議会解散を巡って「解散派」と「現状維持派」の対立構造が鮮明となれば、政局を好むメディアによって大々的に取り上げられるだろうし、現状維持派は守旧派と見なされるだろうからだ。 それができないならば、議会解散には至らなくとも、維新議員だけが責任を取る形で全員辞職し、補欠選挙に持ち込めば良いのだ。 維新議員は再選の可能性に不安を抱くかもしれないが、今は斎藤知事再選の追い風が吹いており、「潔い行動をとった」として、有権者からの支持を集めやすい環境にある。大阪以外で支持率が低迷している維新にとって、この戦略は兵庫県で新たな支持基盤を築く絶好の機会となる。 1人区議員や組織内議員のように固定された地盤を持つ主要政党とは異なり、維新は改革を支持する有権者の浮動票の獲得が成否を分ける。これを兵庫で成功させることができれば、維新にとって今後の成長にもつながるはずだ。もちろん、全国ニュースにも取り上げられることから、維新の会全体としての支持率アップとしてメリットしかない。 辞職ののち維新議員が再選されることで、彼らの議会内での発言力は飛躍的に高まる。斎藤知事も自分に味方してくれる維新との連携を進め、改革派議員を増やすことで、議会内に根深く残る硬直した構造を打破し、有権者からの信頼をさらに強固なものにできるだろう。 斎藤知事が勝ち取った再選。その後に続くべきは、維新議員自身の胆力である。彼らが既得権益に果敢に挑み、切り込む覚悟を持てるかどうか。それが、兵庫県の政治に新たな風を吹き込めるかを決定づける鍵となるのだ。 すべては斉藤知事がPR会社との関係に関する厳しい追及を乗り越えることが出来れば、の話だが……。
三戸 政和(日本創生投資代表)