元兵庫県会議員が提言する、四面楚歌の斎藤元彦知事に残された「新党結成」とは異なる意外すぎる一手
無所属首長が直面する壁
伏魔殿が存在する地方議会の構造は、基盤のない状態で当選した首長にとって極めて大きな壁となる。地方自治における二元代表制の下では、首長が自らの政策を実現するために議会の協力は欠かせない。しかし、議会には長年の利権構造を背景にした古参議員たちが強固な権力を築いており、この構造が改革派首長の行動を阻害する最大の要因となっているのだ。 その結果、改革派の無所属首長は、当選したとしても古参議員を取り込むことに難儀し、孤立するケースが目立つ。いくら正論を述べても、古参議員が納得し、議会の承認がなければ何一つ前に進まない。 こうした中、地方政治に大きな変革をもたらす可能性を秘めているのがSNSの存在である。SNSを活用することで、閉鎖的な「伏魔殿的構造」を暴露し、改革派首長が直接有権者に訴えかけるという、新たな道筋が開かれた。 地方政治では、長年にわたり秘密会議や非公開会議が意思決定の場として機能し、閉鎖的な構造が温存されてきた。このような環境は、利権やコネを生む温床となり、議会内の権力構造が固定化されやすい。 しかし、SNSの発展により、こうした情報を隠し通すことが困難になりつつある。兵庫県知事選挙では、NHK党の立花孝志代表が百条委員会に関する情報をSNSで公開し、議会の内情が広く知れ渡るきっかけを作った。有権者はこれらの情報を通じて議会に根深く存在する「伏魔殿」の存在に気付き始め、地方政治への疑念を深めた。 兵庫知事選のような大きな選挙だけでなく、郡部の地方選挙においても、最近では、選挙関係者や政治に関心を持つ人々は、SNS上で政治的動向を注意深くチェックしている。これらの情報は、地方政治の中で無視できない影響力を持ち始めている。 しかしながら、百条委員会はこの度の情報流出を「遺憾」と表明し、SNS規制を求める姿勢を見せている。地方議会が情報公開を避ける背景には、既得権益を守りたいという思惑が色濃くあるはずだ。情報管理が権力維持の手段となるのは、どの組織でも共通している。 だが、SNS規制を通じた情報統制の試みは、有権者の「知る権利」を奪い、結果として地方政治への信頼を一層低下させるリスクを伴うことに、彼らは気づいているだろうか。 もちろんSNSに流れる情報が映し出すのは真実だけではなく、時に誤情報も含まれるため、SNSの発展とともに、受け手の情報リテラシーの向上が求められることは言うまでもない。それでも「規制」のみに血道をあげるような姿勢には、強い反発を覚えざるをえない。