「できるだけの量を仕入れたい」 ディズニーグッズ転売集団に密着して知った“闇” 両肩に大型ビニールバッグが「定番ルック」
社会問題になっている「転売ヤー」による買い占めと価格吊り上げ。中でもディズニーグッズの転売をめぐる駆け引きは、たびたび報道されている。フリーライターの奥窪優木氏は2023年、ディズニーグッズの中国人転売集団に同行し、東京ディズニーリゾート(TDR)内での“買い付け”に密着した。その様子について、奥窪氏の新著『転売ヤー 闇の経済学』から一部を抜粋、再編集しお伝えする。 【写真】中国でも「Duffy and Friends」のキャラクターは人気が高い ■“転売ヤー御一行”で「夢の国」へ
入園を待つ100メートルほどの行列の最後尾に一行が加わったのは、午前8時40分ごろのこと。 平日にもかかわらずこの混雑ぶりは、TDR開業40周年を数日後に控えているためだろう。周りを見回せば家族連れや若いカップルなどばかり。20~40代の男女6人組のわれわれは、どういった集団に見えているのだろうか。できるだけ目立ちたくない。そう思ってうつむき加減に行列の流れに沿って歩いた。 及び腰の筆者をよそに、入園ゲートに辿り着いた彼女らは異様な行動に出た。
6人の中で先頭にいたメンバーの一人、小静(シャオジン)がまず、スマホに保存されている電子チケットのQRコードをゲートの読み取り機にかざす。「ピッ」という認証音が鳴ったあとも回転ゲートを通り抜けることはせず、再びスマホを読み取り機にかざしたのだった。 そして2回目の認証音が鳴ると、またもやスマホを読み取り機にかざす。小静がようやく回転ゲートを通過したのは、認証音を4度鳴らしてからのことだった。 最初は、他のメンバーのチケットをまとめてチェックインをしたものだと思っていた。ところが小静に続いた梓梓(ヅゥヅゥ)と劉姐(リウジェ)も同じ手順で認証音を4度響かせたのだった。
「TDRの新発売のグッズには、『同一商品はひとり3点まで』という購入制限がされているものが多いんだよ。でも、こうやってわざわざ買い付けに来たからには、できるだけの量を仕入れたいでしょ。 だから今日は、ひとり4枚ずつチケットを用意したよ。実際に入園する人はひとりでも、ゲートで『使用済み』にしたチケットが4枚あれば、同一商品もひとり12点まで買えるからね」 阿麗(アリー)はそう説明すると、入園ゲートへと進んでいった。