元兵庫県会議員が提言する、四面楚歌の斎藤元彦知事に残された「新党結成」とは異なる意外すぎる一手
百条委員会に潜む「村社会」の論理
斎藤知事が再選を果たした翌日、百条委員会が開催された。この場では、公益通報に関するこれまでとは異なる(斉藤知事側に「違法性はない」とする)意見を持つ弁護士を参考人として招致する提案が、維新の議員から出された。 これまでの百条委員会では、斎藤知事や当局の対応に「違法性がある」と指摘する参考人しか呼ばれていなかった。新しい弁護士を呼ぶ提案は、県知事選で示された民意を踏まえ、新たな視点を求める動きだったといえよう。 しかし自民党や旧民主党の議員たちは、参考人のバックグラウンドが不明であることや、「違法性がない」方向に誘導される可能性があるという理由で、公開の場での招致決定を先送りし、理事会での再議論をすることを決めた。このように、公開の場では決められない重要事項を裏で調整するのが「理事会」の役割だ。 かつて田中真紀子元外務大臣が「外務省には伏魔殿がある」と語ったが、地方議会における伏魔殿はまさにこの「理事会」に当たる、と筆者は認識している。東京都知事として改革派の知事をうたった猪瀬氏が、都議会議員のドンに背後を突かれたことを覚えている方もおられるだろう。そのような環境が、地方政治にはまだ残っているのである。 通常、このような理事会には、各主要会派の古参議員(5期以上)と中堅議員(2~3期)が参加し、重要な議題の方向性が密室で決められる。古参議員が議論を主導し、中堅議員はそれに従って、その後の実務を進める構図だ。 今回の百条委員会で「矢面」に立たされたのは、自民党会派3期目の奥谷委員長である。ネットでは「反斎藤の急先鋒」のように受け止められている奥谷氏だが、実は彼は委員長という立場にありながら、実質的な決定権はほぼ持たず、理事会の指示に従うしかない状況にあることは、あまり理解されていない。 先の参考人招致についても百条委員会で「私では決められない」とし、理事会に持ち越したことが、その現実を物語っている。 また、奥谷委員長や百条委員会に出席している中堅議員には、斎藤知事を厳しく追及するよう求められる「圧」がかかっているはずだ。その結果、委員会を観た人から「追及が過剰」「言い方が厳しすぎる」といった批判を受ける結果となっている。 旧民主党の竹内議員においては、有権者からの家族への攻撃もはじまり、議員辞職へと繋がった。この姿勢は彼ら自身だけの判断ではなく、背後に控える古参議員たちの圧力も大きいのだが、そこが理解されることはなかった(竹内議員は5期目であるが、追及能力が極めて高いため、このポジションに選出されたと筆者は見ている)。 実は、彼らの裏に控える古参議員たちの姿の一部を、カメラ中継で確認することができる。百条委員会の奥谷委員長の後ろや脇に位置する議員傍聴席に座り、悠然と高みの見物をしている姿が映ることがあるのだ。