天皇陛下が新年のメッセージ(全文)コロナで「私たちの日常は大きく変わった」
THE PAGE(宮内庁提供映像)
天皇、皇后両陛下は1日、2021年を迎えるにあたり、国民に向けてのビデオメッセージを寄せられた。以下はその全文。 【会見動画】天皇陛下が新年のビデオメッセージ(宮内庁提供映像)
医療従事者らに「深い敬意と感謝の意」差別にも言及
天皇陛下:皆さん、新年おめでとうございます。 皇后さま:おめでとうございます。 天皇陛下:今年の正月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、残念ながら一般参賀の場で皆さんに直接お話をすることができなくなりました。そこで、今回はビデオで新年のごあいさつをしようと思います。 振り返りますと、昨年7月に豪雨により多くの尊い命が失われたことは痛ましいことでした。ご家族を亡くされた方々や、住む家をなくし、仮設住宅などでご苦労の多い生活をされている方々の身を案じています。 この1年、私たちは新型コロナウイルスという、今の時代を生きる私たちのほとんどが経験したことのない規模での、未知のウイルスの感染拡大によるさまざまな困難と試練に直面してきました。世界各国で、そして日本でも多くの方が亡くなり、大切な方を失われたご家族の皆さんのお悲しみもいかばかりかと思います。 そのような中で、医師、看護師をはじめとした医療に携わる皆さんが、大勢の患者さんの命を救うために日夜、献身的に医療活動に力を尽くしてこられていることに深い敬意と感謝の意を表します。同時に、感染の拡大に伴い医療の現場がひっ迫し、医療従事者の皆さんの負担が一層厳しさを増している昨今の状況が案じられます。 また、感染拡大の防止のために尽力されている感染症対策の専門家や保健業務に携わる皆さん、さまざまな面で協力をされている多くの施設や国民の皆さんの努力やご苦労も大変大きいものと思います。この感染症により、私たちの日常は大きく変わりました。特に、感染拡大の影響を受けて仕事や住まいを失うなど困窮し、あるいは孤独に陥るなど、さまざまな理由により困難な状況に置かれている人々の身の上を案じています。 感染症の感染拡大防止と社会経済活動の両立の難しさを感じます。また、感染された方や医療に従事される方、さらにはそのご家族に対する差別や偏見といった問題などが起きていることも案じられます。その一方で、困難に直面している人々に寄り添い、支えようと活動されている方々のご努力、献身に勇気づけられる思いがいたします。