カタールの脅威はスペイン式育成システムと高レベル戦術。森保Jは頂点に立てるのか？
決勝まで6戦全勝、11得点3失点。非の打ちどころのない成績で日本代表はアジアカップを勝ち上がってきた。日本は歴代最多となる4度の戴冠を果たしているが、一度も引き分けがないのは、初めてのことだ。 アルベルト・ザッケローニ監督のもとで優勝した2011年大会は初戦でヨルダンとドローを演じ、フィリップ・トルシエに率いられ、圧倒的な強さで勝ち上がった2000年大会ですら、メンバーを入れ替えたグループステージ第3戦は引き分けている。 ところが、今大会は引き分けることなく、延長戦にもつれ込むことすらなく、すべてのゲームで勝ち切っているのだ。 しかし、そんな日本の成績を上回っているのが、ファイナルの相手、カタールである。6戦全勝、16得点0失点。ここまで1点も奪われていないのだ。 2011年大会のエース、セバスチャン・ソリア（元ウルグアイ人）を筆頭に、かつては外国人選手を帰化させてチーム力アップを図っていたが、現在は育成に力を注いでいる。その拠点となっているのが、国家規模の育成プロジェクトとして2004年に設立されたアスパイア・アカデミーだ。 スペイン人を中心に、世界中から優秀な指導者を招き入れ、最先端の設備で一貫性のある指導を行っている。現代表を率いるフェリックス・サンチェス監督もスペイン人で、アスパイア・アカデミーで約10年にわたり仕事をしている人物だ。FCバルセロナで活躍し、現在はカタールのアル・サッドに所属するシャビも、アスパイア・アカデミーのプロジェクトに参画。ベンチ入りこそ果たしていないが、現代表チームにコーチとして関わっている。 2014年にはU―19カタールがアジアチャンピオンに輝き、翌年行なわれたU―20ワールドカップに出場したが、メンバー全員がアスパイア・アカデミーの卒業生だった。このカタールの黄金世代が、現代表チームの根幹を成している。地国開催の2022年ワールドカップに向けた育成の成果がいよいよA代表にあらわれてきた――それが、今大会と言えるのだ。
