Xで絵師や出版社が「画像に加工処理」「投稿控える」動き急増 “AI活用の可能性”明示した規約改定が背景か
Xではここ数日より、出版社やコミックレーベルの公式アカウントや、クリエイターを中心に「投稿画像にAI学習を抑止する加工処理を施す」「画像投稿を控える」運用を予告するポスト(投稿)が増えている。生成AI経由や無断二次利用を保護する目的があるといい、近日に予定されている規約変更も影響しているようだ。 【画像】Xでは「自衛」表明する投稿が散見される…規約の改定箇所など
出版社公式が「規約変更に伴う」運用変更を告知
14日現在、複数の公式アカウントで前記のようなポストが投稿されているが、そのうち「幻冬舎コミックス」のケースは1万いいねを超える注目を集めている。投稿によると、今後は自社刊行物の告知宣伝にて作家のイラストを使用するものには「AI学習阻害処理やウォーターマーク等の加工をかけた」上でポストする運用になると説明。 「画像がやや不鮮明になるなど、ご不便をおかけいたしますが、作家様の権利保護のため、ご理解いただけますと幸いです」と理解を求めており、その他もこれに準ずる内容となっている。特に幻冬舎のケースでは、背景について「X(旧Twitter)規約変更に伴う」ことであると明記。今後、規約内容に変更がある場合は本運用も更新する可能性があることを付け加えた。 ここでの「規約変更」とは、昨月10月中旬にXがアナウンスした規約類の改定予告の件であると見受けられる。Xではユーザーの公開データをAIトレーニングに使用する可能性がある旨が表明されていたが、今回の改定では概ね現行通りの内容が明文化されることとなった。
15日より適用の新規約に混乱、オプトアウト手段は存在
新規約によると、ユーザーがプラットフォームに投稿したコンテンツの所有権はユーザー自身にあるとしつつも、「世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンス(再許諾の権利を含む)を当社に付与するものとします」と明記され、後の項では、生成AIを含む機械学習モデルのトレーニングデータとしての使用権も対象となると記された。 あわせて、同じく改定予定のプライバシーポリシーではサービス改善の名目で「関連会社との間で情報を共有することがあります」と説明。「オプトアウトしない場合(中略)生成型か他のタイプかを問わず、人工知能モデルのトレーニングなど、独自の独立した目的のために情報を使用する場合があります」として、AIモデル学習利用の可能性も範疇に入るようになった。 トレーニングへの活用についてより明確な内容が記載されたことで、発表当時はクリエイターを中心に、画像に対して「ウォーターマークやサインを載せる」「学習を阻害するフィルターをかける」「画像投稿を控える」といった自衛を奨励するような投稿が寄せられていた。なかには「Xからこれまで投稿したコンテンツを削除する」との告知もなされたほか、有言実行するケースも少なからず存在し、イラスト、創作分野で混乱が生じている。 なお、前述の規約中に記載されていたオプトアウトに関しては、設定画面中に「ポストに加えて、Grokでのやり取り、インプット、結果をトレーニングと調整に利用することを許可する」とのチェックボックスが今年の夏頃より出現している。 こちらは文面だけ見ると本件とは無関係のようにも受け取れるが、ヘルプページやセキュリティ部門の説明、ユーザーが問い合わせたところによると、トレーニング拒否の意思表示になるとのこと。デフォルトで有効になっているため、各自確認をしていただきたい。
編集部 IT/デジタル担当