1回1500円で「男性ハゲ」の治療ができる…内服薬よりも副作用の心配が少ない「最新治療」とは
■副作用が心配な人にはLEDを使った治療も 「注入の場合は内服で起きうる全身性多毛などの副作用が起きにくく、外用よりもしっかり浸透するので有効性は高い。月1回の頻度で、5回以上行うと効果が感じられるでしょう。また発毛に有効といわれる幹細胞培養上清液(ヒト由来の幹細胞を培養増殖するために利用した溶液の上澄み)を合わせて注入することもできます(同院で1回5万円~)」 ほかにも最新育毛療法としては、大阪大学医学部招聘教授の乾重樹医師(心斎橋いぬい皮フ科院長)が開発した「ナローバンドLED(発光ダイオード)治療」がある。熱を帯びないLED光を脱毛部分に照射するのだ。 「LEDによる皮膚治療は以前からありました。傷を治したり、皮膚の色素沈着を取り除いたりする分野で効果があるとよく知られていたのです。私は波長の長い赤色LED光を使い、毛の成長に重要な働きをする毛乳頭細胞を活性化させる効果を発見しました」 この治療法はガイドラインでは推奨度B(行うよう勧める)。心斎橋いぬい皮フ科では、1回1500円と低価格で施術する。しかし、「薬物治療ほどの効果はない」という。 「計測すると、非常に微細に毛の量が増えるという状態で、緩徐な効果ですね。だいたい有効率は6~7割でしょうか。ただ内服薬の副作用がある人に良い治療法といえますし、薬物療法と組み合わせることで効果が高まるでしょう。現在は6万円ほどの機材を買えば、自宅でも照射ができます。理想は毎日20分程度、3カ月以上続けて効果を確かめてください」(乾医師) そのほかよく宣伝される「自毛植毛術」などは安全性や定着率、費用面などで今後整備が必要だろう。 女性から見て、男性の薄毛はおそらくそれほど気にならない。けれども本人が悩むのなら、根拠のある治療を知ったうえで、コストを含め納得のいく施術を受けることで前向きな気持ちになれたらいいと思う(もし私ならLED治療を受けてみたい)。また医療機関を選ぶ際は、何かを売りつけられるようなところは避け、親身になって話を聞いてくれるかどうかで判断してほしい。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年10月18日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 笹井 恵里子(ささい・えりこ) ジャーナリスト 1978年生まれ。本名・梨本恵里子「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、プレジデントオンラインでの人気連載「こんな家に住んでいると人は死にます」に加筆した『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』(中公新書ラクレ)、『老けない最強食』(文春新書)など。新著に『国民健康保険料が高すぎる! 保険料を下げる10のこと』(中公新書ラクレ)がある。 ----------
ジャーナリスト 笹井 恵里子