1回1500円で「男性ハゲ」の治療ができる…内服薬よりも副作用の心配が少ない「最新治療」とは
■1カ月1万円前後から薬で薄毛を治療できる ガイドラインでは2種の内服薬――フィナステリド(商品名・プロペシア)か、2016年に登場したデュタステリド(商品名・ザガーロ)が推奨度A(行うよう強く勧める)。 「これらは男性ホルモンを抑える薬と誤解される方が多いのですが、そうではなくDHTへの“変換”をブロックする働きがあります」(同) 気になる副作用は、フィナステリドは、臨床試験においてプラセボ(偽薬)群とほぼ同様の副作用発生率で、血中半減期(体内に入った薬が、代謝や排泄で半分に減るまでに要する時間)も数時間と短く、安全性が高いといえるだろう。 一方でデュタステリドのほうは、性欲減退や男性機能低下が約3~11%とやや高率である。 「またデュタステリドは血中半減期が3~4週間と長いので、万が一副作用が発生した場合、投与を中止しても長引いてしまうという懸念はあります。ですが、副作用の発生頻度は決して高くありません。私はどちらも比較的安心な薬だと思います」(同) AGAは健康保険適用外のため、医療機関により治療代が異なる。参考までに齊藤医師が院長の「なごみ皮ふ科」では診察代と1カ月の薬(フィナステリド)代で1万1000円程度(再診では9500円、ジェネリックでは7000円)。 「男性の場合はこの2種類の内服薬に、ミノキシジルという外用剤(育毛剤)を併用することもあります。この3種類の薬から適切に処方することで現状維持や改善をすることが多いです」(同) 外用剤のミノキシジルはガイドラインでA評価(行うよう強く勧める)。ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として米国で販売されたが、副作用として全身の体毛が増えるという症状を頻繁に起こした。これを基に薄毛治療薬として再開発され、日本では1999年から発売されている。頭皮の血流を改善して毛髪を作る毛母細胞自体を活性化し、国内で唯一“発毛”が承認されている薬だ。 「ですが医学的に発毛に関する明らかな定義がないので、皆さんがイメージする形とは違うかもしれません」と齊藤医師が続ける。 「細くなってしまった毛をこれ以上細くしない、うまくいけば太くなるというもの。生えなくなった毛を再び生やすわけではなく、現状維持の薬です。しかし、抜け毛の進行が止まるというのも、十分な薬効なのです。5年後を考えると大きな差がつくでしょう」 また、市販の育毛剤のミノキシジル配合濃度は1~5%だが、皮膚科によってはそれよりもミノキシジルの濃度を高めて処方するところもある。 ヘアケアに詳しい皮膚科医の吉木伸子医師(よしき銀座クリニック院長)のもとでは、ミノキシジルなどを頭皮に直接注入する治療を行っている(同院で1回約3万円程度~)。もちろん外用剤とは違う、注入用のミノキシジルだ。吉木医師はこう話す。