パンの香りとファッションと──藤原ヒロシがディレクションする「V.A.」が原宿にオープン
原宿・神宮前に誕生したコンセプトストア「V.A.」が12月15日にオープンした。場所は長年愛されたカフェ・ラウンジ「モントーク」の跡地。その空気感を継承しながら、新たな要素を加えたストアコンセプトを手がけたのは、藤原ヒロシだ。出発地点から未来への展望まで訊く。 【写真を見る】店内の様子をチェック。
現代に息づくカルチャーの交差点
「V.A.」は原宿の新たなランドマークといってもいい。その名は"Various Artists"を意味し、様々なモノやコトが交差する場所として構想された。内装は荒木信雄、カフェは山本宇一が手掛けた。建物の1階は物販・ポップアップスペース、2階がベーカリーショップ「VAT BAKERY」と、カフェスペースで構成されている。ディレクションを担当した藤原ヒロシは、「このままクローズするのはもったいないと思い、最終的にカフェの形状を残して、みんなが集まれる店にできればと考えました」という。 この地は1980年代の「カフェ ド ロペ」の時代から通い続けた思い出の場所だ。構想の出発点について訊くと、「元々はベーカリーをやろうと考えたのが最初なんですよ。パンを焼く香りって素敵じゃないですか。それとともにショッピングができるっていいなと思って」と意外な答えを返す。 現在、1階では「Champion」「Hender Scheme」「Levi's®」「L.L.Bean」「New Era®」といったブランドとのコラボレーションアイテムが並ぶ。UNDERCOVERの高橋盾などのV.A.限定アイテムも展開。さらに「agnès b.」「Au Départ Paris」「CONVERSE」「PAC-MAN」など、人気ブランドとFRAGMENTのコラボレーションアイテムも用意された。 2階のカフェスペースは、2024年5月にクローズした神田の名店「エース」から譲り受けた家具や、ノスタルジックな赤いボックスシートが特徴だ。 「カフェはやっぱり話ができる空間がいい」と藤原はいう。パリの狭い店から東欧にある天井の高い広々とした老舗まで、世界中のカフェを渡り歩いてきた彼らしい言葉だ。 今後の展開について、藤原は「場所的にポップアップストアとして稼働できたらいい。一棟を借り切ってイベントをやってもらうのも興味がある」と語る。 店名の由来でもある"Various Artists"という言葉には、懐かしさも込められているそうだ。「今は音楽を聴くスタイルはプレイリストが主流ですが、昔のコンピレーションアルバムみたいに、色んなアーティストが集まって何かを作り出せる場所になることを願っています」 ファッション、カフェ、ベーカリーが融合した新しい文化的プラットフォームの可能性を秘めた「V.A.」の誕生を祝福したい。 ■V.A. 住:東京都渋谷区神宮前6-1-9 営:10:00~20:00 休:不定 IG:@va.tokyo IG:@vatbakery ※PAC-MAN™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
編集と文・岩田桂視(GQ)