仁支川峰子「自然災害のある国、おひとりさまは〈持ち家か賃貸か〉に悩む。ペットを飼うこともやめました―1998年、新築の自宅を豪雨に流されて」
◆こだわりや執着心なんていらない 当時のことをよく覚えているのは、忘れられないからではありません。忘れてはいけないと思っているからです。試練と引き換えに数々の教訓を得ました。 たとえば再びなんらかの災害に見舞われたとして、私が決めていることは一つだけ。「冷静でいる」ことです。右往左往すればかえって危ない方向へ行ってしまう。ですから、私は現実をしっかりと受け止め、なるようにしかならないと腹を括ることで、どんな時でも気丈でいられることを知りました。 災害に備えてできるのは、「こうでないと生きていけない」みたいなこだわりや執着心を手放して、おおらかな気持ちで生きることだと思います。 だから基本的には、ふだんから何事にも不安がるようなことはしません。生きるか死ぬかは、家に残るか、たまたま家を出たかというようなことで決まるのです。 それを今から心配するなんて無駄。不安になって縮こまって生きるなんてバカバカしいと私は思います。 今を楽しみながら精一杯に生きる。そうすれば、いつ死んでも悔いは残らない。これが災害から私の得た、一番大きな教訓なのです。 (構成=丸山あかね、撮影=洞澤佐智子)
仁支川峰子
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