西武が吉田輝星を粉砕し単独2位浮上…CSマジック「3」点灯に辻監督は「残り4試合を死ぬ気で戦う」
歓喜の雄叫びと無念の思いを繰り返しながら、目の前の試合を全身全霊で戦ってきた獅子たちの視界に、次の舞台へと繋がるゴールが見えてきた。最大9ゲーム差を逆転しての、奇跡のクライマックスシリーズ(CS)進出へ。西武にマジックナンバー「3」が点灯した。 本拠地メットライフドームで行われた4日の日ハムとの24回戦。2回までに8点を奪う猛攻で、本拠地最終戦を10-3で制した西武は4連勝をマーク。同一2位で並んでいたロッテがソフトバンクに0-2で敗れたため、1ゲーム差をつけて単独2位に躍り出た。 今季5試合目の先発となった日ハムの吉田輝星を攻め立て、わずか2回でマウンドから引きずり下ろした。コーリー・スパンジェンバーグが2回に放った特大3ランが強烈な残像を刻んだが、2018年のドラフト1位右腕を動揺させたのは、足を含めた西武の小技と相手の隙を見逃さない集中力だった。 立ち上がりから1番・金子侑司が内野安打で出塁する。一、二塁間へのゴロをファーストの清宮幸太郎が飛び出してキャッチするも、ベースカバーに入った吉田への送球がやや前方にそれる。身体を必死に伸ばしても届かず、勢い余って転倒するアクシデントが吉田の出鼻をくじいた。 しかも、2番・源田壮亮への初球、外角高目にすっぽ抜けた直球をキャッチャーの宇佐見真吾が後逸。労せずして二進した金子は、進塁打を狙った源田の一打が二塁内野安打となる間に三塁を陥れ、続く三塁後方にポトリと落ちた3番・外崎修汰の幸運なタイムリーで先制のホームを踏んだ。 「大事な試合なので、まずは先制点を、と思って打席に入りました。いいところにボールが落ちてくれてよかったです」 カウント0-2と追い込まれながらしぶとくボールを見極め、フルカウントから外角高目に浮いた吉田のスライダーに食らいつくようにバットを出した外崎は、先制打を満足そうに振り返った。 対照的にバットの芯を食った打球がないまま先制された吉田は、内心穏やかではなかったのだろう。4番・栗山巧、5番・中村剛也に連続四球を与え2点目を献上すると、6番・スパンジェンバーグへの初球に不用意にストライクを取りにいった。四球の後の外国人の初球要注意は配球の鉄則。甘いスライダーは、快音を残してライト前へ弾んで外崎が生還。さらに一死満塁と続くチャンスに7番・木村文紀も初球の甘いストレートを見逃さずレフトへの犠牲フライを決めた。一挙4点。 「チャンスで回してくれたので、何とか追加点を、と思っていた。いい形で得点できてよかったよ」 スパンジェンバーグが強調すると、木村も、この場面をこう振り返った。 「甘い球が来たら初球から行こう、と思って打席に入りました」