国際リニアコライダー計画で会見(全文2)素粒子物理の将来は「線形」加速器
次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の日本誘致を目指す計画をめぐり、ノーベル物理学賞の受賞経験がある米国の2博士が7日、東京の外国特派員協会で記者会見を開き、ILC計画の意義や可能性などについて説明した。 【写真】国際リニアコライダー計画で会見(全文3完)WWWなど予想しない技術の誕生も 会見は、高エネルギー加速器研究機構やお茶の水女子大、東北大、東大、早大などの研究機関などでつくる「ILC推進プロジェクト」が主催。1979年にノーベル物理学賞に受賞したシェルドン・グラショー氏と、2017年に同じくノーベル物理学賞を受賞したバリー・バリッシュ氏が登壇した。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「【中継録画】『国際リニアコライダー』日本誘致でノーベル賞博士ら会見」に対応しております。
「円形」加速器は素粒子を衝突させるのに高いエネルギー必要
司会:どうもありがとうございます。質問は2人のお話が終わってから最後にまとめていただきますので。それでは次に国際プロジェクトとしてのILC計画の意義と可能性と題しまして、バリー・バリッシュ博士よりお話をいただきます。 バリッシュ:私、2日前のシンポジウムにおきましてお話をさせていただきました。そして今、司会のほうからも私についてのご紹介がありましたので、私、本日の話につきましては、個人的なステートメントと申しますが、経験に基づいてお話をさせていただくということにさせていただければと思っております。なぜ私がこちらのほうに参ったのか、カルフォルニア州からこの日本に来ることになったのかということに関わる問題であります。すなわち、線形加速器を日本につくると、このILCを日本につくるということの力強い支持表明をさせていただくために、こちらのほうに来させていただいたところであります。 実は、線形の加速器をつくるという考え方自体につきましては、50年前にさかのぼるものであります。当時からこの素粒子の加速器について線形のものにしろ、円形ではなく線形のものにするという議論が交わされていたところであります。そして円形の加速器がなぜ問題なのかということについては、例えば、円形の場合に素粒子を逆方向で加速をしてぶつかるということをした場合に、1回目でぶつからない場合はもう一度回ってきて2回目、そして3回目にぶつけることができるということができるわけでありますけれども、しかしながら線形の場合はそのチャンスというのは1回しかない。例えば、ライフルで弾を撃った場合に、それにぶつけるかどうかというのは1回しかチャンスがないということがあったわけです。 そこで、一方で、円形のコライダーの場合、加速器の場合は、これを衝突させていくために、非常に高いエネルギーを必要とするということがありました。そこで、50年前、これがなかなかできないというふうな大きな問題であったわけでありますが、そこで、このエネルギーをできるだけ高めることによって、電子のレベルにおいて、衝突を実現するということがトライされるということが行われてきたわけであります。今回このILCにつきましては、こういった状況の中で、従って線形のものを必要とするということの中から生まれてきたものでありまして、先ほど申し上げましたように、50年前において、この基本的な考え方というものは出されてまいりまして、研究開発も行われ、そして、技術的な開発が進むことによって、90年代において、こういった取り組みが進められてきたところであります。 例えば、日本におきます、高エネルギー加速器研究機構、KEKの研究室においてもトライをされてきたところでありますし、また、カリフォルニアにおけるスタンフォード大学のスラック、SLACでもトライをされ、そしてドイツにおきましてはDESYといわれます、ドイツ電子シンクロトン研究所においてもトライがされてきたところであります。