医師が勧める「痩せる炭水化物」って?糖質制限ダイエットをする人に知ってほしい真実
なんとなく信じている健康や医療のウワサって本当に正しいの?医師である柳澤綾子さんの著書「身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。」(Gakken)から、気になる最新の健康情報を一部抜粋してお届けします。 ◇ ◇ ◇
揚げ物の油は脂肪にはならない
数年前から世間では盛んに、「糖質制限」やそれを用いたダイエットが流行っているような気がしませんか?糖質制限と聞けば聞くほど、気になりませんか?きっとその糖質制限とやらをやれば、やせるのではないかと。「みんなやってるみたいだし、とりあえず夜ご飯でお米を食べるのやめようかな?」とか「ランチの定食のご飯を小ライスにしてみようかな?」とか。 でも、ちょっと待ってください。その糖質制限って一体何か、そもそも知っていますか?そしてそれが、どのようなメリット・デメリットをもたらすか知っていますか?まずはそこから始めましょう。 アメリカ糖尿病学会(ADA)(1)は、糖質制限の一種「低炭水化物食(糖質制限食)」を「1日の糖質摂取量130g以下、または従来の基準の2000kcalの26%以下」と定義しています。 ハリウッドセレブが多く実践していることで有名になった糖質制限ダイエットの代表格「アトキンス・ダイエット」と呼ばれる糖質制限は、さらに制限を課すもので、「1日の糖質摂取量が50g以下(1食20g以下)」にするように言われているようです。 ではこの「糖質」とは、そもそも一体何者なのでしょうか。糖質とは、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の中の炭水化物の一部です。炭水化物は、人が消化吸収できる「糖質」と消化できない「食物繊維」の2つに分けられますが、今回はダイエットに関する話なので、吸収できるほうの糖質について考えてみましょう。 糖という字面から「甘いもの」というイメージを抱くかもしれませんが、実際体内で使用される糖質は、「甘いか・甘くないか」は関係ありません。甘い砂糖や果物由来の果糖も、じゃがいもやお米などに入っている甘くないデンプンも、どちらも糖を含みますが、小腸で消化吸収される際にはブドウ糖に分解され吸収されるので、結果的に同じものになります。 この体内に吸収されたブドウ糖は主に体を動かすためのエネルギーとなりますが(脳を活性化するのにも大事な働きをする)、摂りすぎたりして余ったブドウ糖は体内で貯蔵するために、脂肪に変換されてしまいます。一方でよく勘違いされるのですが、揚げ物の油が脂肪になるわけでもないのです。 ということはつまり、このブドウ糖が体内で余らなければ、脂肪にならないわけ。よって「糖質を制限すれば、理論上は脂肪になる材料がなくなるじゃないか」というのが、糖質制限ダイエットのそもそもの理屈なわけです。