ハイレベルのJリーグに「黒船」到来…財政力もアップして「欧州5大リーグ」に迫れるか
レッドブルによる改革
レッドブルは世界で最もシェアの高いエナージードリンクで、日本でも売り上げを伸ばしている。そして、スポーツを使った宣伝活動に熱心で、多くの分野のスポーツ選手を支援。とくに、オーナーが愛好家ということでモータースポーツやエアレースに力を入れており、F1ではレッドブル・レーシング、RBフォーミュラ1チームと2チームを所有している。 サッカー界では地元オーストリアのレッドブル・ザルツブルクをはじめ、ドイツのRBライプツィヒ、ブラジルのレッドブル・ブラガンチーノ、米国のニューヨーク・レッドブルズを所有。大宮は、レッドブル・グループにとって5つ目のクラブということになる。 最近では昨季までイングランドの名門リヴァプールの監督を務めていた名将ユルゲン・クロップが、2025年1月からレッドブル・グループのサッカー部門責任者に就任することが決まって話題となった。 大宮としてはサッカーの本場欧州でのクラブ経営や強化、選手育成の各部門で蓄積したレッドブル・グループのノウハウや豊富な資金力を使って、チームを強化を進められることになる。また、レッドブル側には日本人選手の獲得やグループ内クラブの若手選手を大宮で経験を積ませることができるなど、互いにさまざまなメリットが見込まれる。 大宮サポーターにとっては、クラブのエンブレムや「オレンジ」のクラブカラーが変更されるのではないかという怖れもあった。だが、クラブ名が「RBアルディージャ」となり、エンブレムが変更されるだけで、チームカラーなどは現在のものを維持することになり、J3リーグでチームを優勝に導いた長澤徹監督の留任も発表された。 レッドブルは日本側の事情も勘案しながら、時間をかけてゆっくりクラブを改革していく方針のようだ。
Jリーグの実状
1993年に発足したJリーグは、30年という年月をかけて拡大強化されてきた。 現在、数十人の日本人選手が欧州のクラブで活躍しており、各国のトップクラブで欠くことのできない戦力となっている選手も多い。そうした経験値の高い選手たちが集まった日本代表は、今ではアジアでは抜きん出た存在となっている。 それが可能になったのは、Jリーグクラブの育成組織が優秀な若手を育てているからだし、Jリーグの競技力が上がっているからにほかならない。J1リーグで活躍できる選手なら、欧州のクラブで十分に通用するようになったのだ。 しかも、日本人選手は監督の指示に忠実にプレーするし、移籍金が比較的安くてすむので、欧州クラブにとっては“お買い得”なのだ。 もちろん、Jリーグの競技力は、イングランドやスペイン、ドイツ、イタリア、フランスのいわゆる「五大リーグ」には遠く及ばない。