エリザベス女王が“緑の魔術師”と称えた庭園デザイナー・石原和幸 世界最高峰の「英国チェルシーフラワーショー」に出続ける理由とは?
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。11月17日(日)の放送は、庭園デザイナーの石原和幸(いしはら・かずゆき)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
◆エリザベス女王もその独創性を認めた“緑の魔術師”
石原さんは、1958年生まれ、長崎県出身の66歳。世界最古にして最も権威がある「英国チェルシーフラワーショー」にて、これまで合計12個のゴールドメダルを獲得し、エリザベス女王から“緑の魔術師”と称えられた庭園デザイナーです。 「英国チェルシーフラワーショー」は、英国王立園芸協会主催でイギリス・ロンドンにて毎年5月に開催される、150年以上の歴史を誇る最高峰の国際ガーデニングショーです。 同ショーについて、石原さんは「世界中のガーデナーがここを目指しているんですけど、映画にも何回かなっていまして。全部で600くらいの出展があります。お庭の部門や農業の品種改良とか、いろいろな部門があるんです。(会期中の)チェルシー地区は、街全体がディスプレイされているんです。スローンスクエアという駅がありまして、降りた瞬間に『ここが会場?』というくらい駅の全部に花が飾ってあります」と説明します。 石原さんが同ショーを初めて見に行ったのは、2003年。「“すごいな!”と思ったのが5階建ての庭。1階がエントランスガーデン、エレベーターで2階に上がると寝室、3階がホビールーム、4階が子ども部屋とか。エレベーターで5階に上がって、すべり台で降りてくる庭だったりとか、発想が全然違う。そういう庭が30個くらいあります」とそのときの衝撃を振り返ります。 その翌年、2004年に初出品した石原さんは、ゴールドに次ぐシルバーギルドを獲得しました。「ゴールド、シルバーギルド、シルバー、ブロンズ、ノーメダルとあるんですけど、(2004年は)ゴールドはいなくてシルバーギルドだけだったんですよ。『嘘でしょ!』って、死ぬほどうれしくて。BBCも僕を取材してくれて、(現地の)イギリスで話題になりました」と回顧。 そんな権威あるフラワーショーで初参加ながらシルバーギルドを受賞したとあって、「日本に帰ってきてすごい数のマスコミがいるのを期待していたら、ひとつも話題にならなくて、悔しくて……。『英国チェルシーフラワーショー』の素晴らしさを日本で伝えることが僕の仕事だと。だから、出続けると決めたんです」と思いを語ります。 小山が「これまで12回ゴールドメダルを獲得されましたが、例えば、どんな庭だったんですか?」と尋ねると、石原さんは「600のカテゴリーでナンバーワンになったことが1回ありまして。ガレージ・ガーデンというのを作りました。ミニクーパーを主人公にして、そこから階段が横から上がって、その上にデッキがあります。ガレージがミニクーパーなので、約3m50cmくらい、幅が8mのスペースがあります。左側には蛍が飛ぶような川を作って、その奥にワインセラーがあって。あとは車の工具があったり。階段の下は全部緑化して、水も流れて、そのなかにはアヤメが咲いていたり。自分の好きなものを全部ここに集めて、プレジデント・アワードを受賞しました」と振り返ります。 それを聞いた小山は、「男の夢ですね。車があって、ワインセラーがあって」と反応。石原さんは「自分の世界というか、秘密基地を作るような感じです」とうなずきます。
石原さんが手がけた作品の写真を見た宇賀は、「すごい! これが庭園なんだ!? 思い描いていた庭園と全然違いますね。こんなに立体的なんですね」とビックリ。小山も「庭園の概念が変わりましたね」と驚きを隠せない様子でした。 (TOKYO FM「日本郵便 SUNDAY’S POST」2024年11月17日(日)放送より)