エレクトロニック・ユニット、キアスモス(Kiasmos)が語る――10年振りの新作、そして音楽と自然の関係性について
――例えば、KLFの「Chill Out」のような、フィールド・レコーディングを取り入れた作品で好きなものとかあったりしますか。
ヤヌス:どうだろう? 自然の音を音楽に取り入れる試みって、古くから多くのアーティストによって行われてきたわけで。自然の音は、音楽に豊かなインスピレーションを与える素材としてアーティストたちに愛されてきた。中には、フィールド・レコーディングのみを作品として発表するアーティストもいて、個人的には、そういった作品をよく聴いてきた感じかな。
――併せて、「Sailed」や「Flown」で聴けるように、今度のアルバムでガムランや民族音楽の要素を取り入れることになったのも、いつもと違う制作環境だったからこその試みだったりするのでしょうか。
ヤヌス:というか、実はバリ島に到着した初日に、持っていたシンセサイザーが壊れてしまってね(笑)。それで急遽、アンティークショップで竹製と金属製のガムランを2台購入して。それらを組み合わせて新しい楽器を作り、サンプリングして、楽曲に取り入れてみたんだ。結果、今回の音楽制作に欠かせない要素になったし、独自のサウンドを生み出していると思うよ。
オーラヴル:竹は柔らかいものから硬いものまでさまざまな素材を重ねて作られていて、それをバチの種類や叩き方を変えることでいろんな音色を試してみたんだ。そうした音をレイヤーすることで、より深みのあるサウンドを作り出すことができたんじゃないかな。
音楽と自然の関係性
――先日、ジョン・ホプキンス(Jon Hopkins)にインタビューした際、彼の近作が「自然」や「スピリチュアリティ」をテーマとしていることを伺いました。音楽と自然の関係性は、それこそバロックや古典の時代から多くの作曲家によって探求されてきたテーマです。単に自然の音を模倣するだけでなく、自然に対する人間の心象を音楽で表現するなど、その表現方法は多岐にわたります。2人がこうしたテーマについてどのような見解を持っているのか、興味があります。