エレクトロニック・ユニット、キアスモス(Kiasmos)が語る――10年振りの新作、そして音楽と自然の関係性について
アイスランド出身のオーラヴル・アルナルズとヤヌス・ラスムセンによるエレクトロニック・ユニット、キアスモス(Kiasmos)。その結成は古く、かたや映画やドラマのスコア制作でも高い評価を得る「ポスト・クラシカル」の雄として、かたやエレクトロ・ポップ・バンドのブラッドグループ(Bloodgroup)のメンバーとして、オーラヴルとヤヌスが個々に築いてきたキャリアと並走するかたちで営まれてきた活動は、今年ではや15年になる。キアスモスの魅力は、そんな2人の個性やスタイルのダイナミックな交差にあり、そのサウンドはアンビエントやミニマル・テクノ、レイヴ、UKガラージなどクラブ・ミュージックの間を自在に行き来しながらスケール感溢れる“映像喚起”的な世界をつくり上げている。2014年に発表したデビュー・アルバム「Kiasmos」は、ピアノやストリングスなど多彩な生楽器と硬質なエレクトロニクスが相乗効果をもたらし、クラシック音楽の壮大で深遠な美しさをダンスフロアに召喚したような傑作だった。 【画像】エレクトロニック・ユニット、キアスモス(Kiasmos)が語る――10年振りの新作、そして音楽と自然の関係性について
対して、今年の7月5日に10年ぶりにリリースされたニュー・アルバム「Ⅱ(トゥー)」では、アイスランドを離れてバリ島で行われたレコーディングの経験が彼らの音楽に新たなインスピレーションをもたらしている。変化の目まぐるしいビート、柔らかくも力強く推進するグルーヴ、オーケストラを導入したシネマティックで高揚感に満ちたサウンドスケープはそのままに、ガムランの金属的なパーカッションや民族楽器のサンプリング、そして自然環境のフィールド・レコーディングが彩るオーガニックで開放感のあるアトモスフェリアが印象的だ。
「音楽の原点に立ち返ったような感覚だった」――そう今作の制作について振り返るヤヌス。そんな好奇心と冒険心に突き動かされた新作について、さらにその背景にある音楽と「自然」や「スピリチュアリティ」をめぐる哲学について、ライブ直前の2人に聞いた。