エレクトロニック・ユニット、キアスモス(Kiasmos)が語る――10年振りの新作、そして音楽と自然の関係性について
ライブ環境について
――キアスモスとしては今回が初来日ということで、今夜(10月11日)のライブも楽しみですが、特に明日の「朝霧ジャム」のステージは特別な体験になるのではと期待しています。2人にとって、クラブや都市型のフェスではなく、自然に囲まれた野外でパフォーマンスを行うことの意義や醍醐味はどんなところに感じていますか。
オーラヴル・アルナルズ(以下、オーラヴル):正直言うと、野外でのライブは親密さが少し失われる感じがして(笑)。人が多いし、エネルギーで溢れているからね。だから個人的には、こういうクラブ(※恵比寿LIQUIDROOM)の方が本当は好きなんだ。こぢんまりとしていて、タイトで、汗だくでムンムンしていてね。
ヤヌス・ラスムセン(以下、ヤヌス):フェスティバルって、何が起こるか分からないというか、天候とかいろんな要素で想定外のことが起こったりするから。雨が降ってグチャグチャになっちゃうこともあるし、人が多すぎて身動きが取れなくなることもある。その点、クラブの方がコントロールしやすいし、安全というか、僕たちにとっては音楽を始めた原点でもあるからね。
――そうなんですね。ただ、キアスモスのサウンドは自然の風景やオープンエアな環境と親和性がとても高いと思います。
オーラヴル:僕たちもやりながら自然を感じられたらいいんだけどね。というのも、パフォーマンス中の僕たちって、ステージの上でライトに照らされている状態だから(笑)。だから周りの環境を意識することって難しくて。でも、フェスティバルによって場所が変わると、まったく違う感覚を味わえることがある。たまにはね。
――例えば、野外でのステージ用にセットやアレンジを変えたり、視覚的な演出を変えたりすることはありますか。
ヤヌス:どうだろう? 通常、フェスティバルだと演奏時間が短くてね。でもクラブだとたっぷり演奏できるから、今夜も長めのセットを用意したんだ。85分くらいかな。ただ、いったん曲の順番や照明とか、音響を含めた全体のプロダクションを決めてしまうと、しばらくはその通りにやるのが普通なんだよね。だから唯一アレンジする可能性があるとすれば、3曲くらいを通しで演奏して、それをセットの前半か後半かに移動させることぐらいかな。