『絶対王者』米子北、42本のシュート放ち12得点のゴールラッシュ!! 総体予選で苦しめられた倉吉北を下して4強入り:鳥取
[10.26 高校選手権鳥取県予選準々決勝 米子北高 12-2 倉吉北高 ヤマタスポーツパーク球技場] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権鳥取県予選準々決勝が10月26日に行われ、ヤマタスポーツパーク球技場の第1試合では米子北高が倉吉北高を12-2で下し、27日に行われる準決勝に勝ち上がった。 開始直後から一方的に攻め込む米子北に対し、倉吉北も粘り強く対応していたが、前半10分(40分ハーフ)にMF佐野聖也(3年)がエリア内で倒されてPKを獲得。これを佐野が自ら決めて均衡を破った。 勢いに乗った佐野は14分と17分にも決め、前半の半分も過ぎないうちにハットトリックを達成。倉吉北は20分に早くも2人の選手交代を行い、何とか流れを変えようとするものの、米子北は26分にもDF久徳庵道(3年)が決め、さらにリードを広げる。 しかし、猛攻に耐えて懸命に前にボールを運ぶ倉吉北は、29分に敵陣左サイドでFKを獲得。MF森木翔(2年)がニアサイドに蹴ったボールを、交代で入ったMF門田鉄士(2年)がヘッドで決めて1点を返した。 だが米子北は失点直後の31分に佐野が自身4点目を決め、すぐさま突き放すと、38分にはDF生駒奏輝(2年)が決め、6-1で前半を終了。後半も攻勢は続き、11分にMF佐々木吹(3年)、12分にDF橋井蒼士郎(3年)が決めて8-1とする。 大量失点しながらも最終ラインからのビルドアップにチャレンジし続ける倉吉北は33分、見事な攻撃で2点目を奪う。自陣右サイドの深い位置からダイレクトパスを交えて米子北のプレッシャーをかわし、ボールを前進させると、DF森本大介(3年)のパスを左サイドバックから駆け上がってきたDF藪内碧人(2年)が左足で蹴り込んだ。 それでも米子北は最後まで攻撃の手を緩めず、35分から4得点を追加。シュート42本、12得点というゴールラッシュで準決勝に勝ち上がった。 今年のインターハイ(全国高校好総体)予選2回戦で米子北に0-1で敗れた倉吉北は、同様に失点を最小限に食い止めてジャイアントキリングを狙いたいところだったが、相手の猛攻に耐え切れず。下屋敷恒太郎監督は「我々も夏に頑張ってきましたが、米子北さんはそれ以上にやっていたんだと思う。学びを得ました」と振り返った。 下屋敷監督がJ3鳥取のスタッフから転身して監督に就任した2021年から本格的に強化を始め、現在の3年生は下屋敷監督が声を掛けて入部した最初の世代。当初は部員が11人に満たなかったため、中学生のチームに混ざって練習し、試合は他校との合同チームで出場していた。 3年後、単独で臨めるようになったチームは大敗したとはいえ、貴重な経験を積んだ。キャプテンのMF山田翔大(3年)は涙をこらえながら「最初は正直、こんな大きなチームになるとは思っていませんでした。最後にこうやって米子北と試合ができたことは、すごくうれしかった」と語り、1、2年生に「倉吉北はスローガンの『ONE TEAM』のとおり、みんなが一つになって頑張れるチーム。励まし合って、強くなっていってほしい」と思いを託した。 長らく県内のタイトルを独占している鳥取の『絶対王者』米子北は順当に勝ち上がったが、中村真吾監督は「得点は取れたけど、もっとチャンスがあったし、失点シーンがあまりにも軽過ぎる」と厳しく指摘。選手権予選という舞台を踏まえて「倉吉北さんも最後の大会で必死にやってくるのに、その重みを分かっていないところがあった」と続けた。 今年度はインターハイで3位となったものの、高円宮杯プレミアリーグWESTでは苦戦が続き、今回の予選開幕後の試合も含めて11連敗という状況で、15年連続20回目の選手権出場を目指している。中村監督は「勢いを持って臨みたい」と語り、まずは米子松蔭高と対戦する27日の準決勝を見据えていた。 (取材・文 石倉利英)