「グローバルノースの大量消費を解決するためにいるのではない」 古着の最終地点ケニアのデザイナーと現状を議論
WWD:先ほどの市場の写真では50円30円の服が並んでいましたが、以前はもっと1500円くらいが普通だったんですね。
鎌田:エリアによっては現在もいいものを売っている場所はあるようですが、全体としてその割合が変わってきている。ちなみに先ほどのミツンバはどこから入ってくるかというとイギリス、中国、アメリカ、それからパキスタン、トルコが多いそうです。日本の服は見かけなかったですが現地の方に聞くと「日本の服はパキスタンからたくさん入ってきます」とおっしゃっていて、そういう形で回っているんだなと思いました。
服の形をしたプラスチックが現地の環境を汚染
WWD:ちなみにイオナは先ほどのマーケットには行くんですか?
イオナ:はい、行ったことがあります。今話に上がっていたようにここ数年で、間違いなく古着の質は落ちています。私たちは最近、埋立地の衣類を再利用するプロジェクトを始めました。Tシャツはちょっとしたダメージやシミで売れずに膨大な量が埋め立てられています。これは私たちが作ったバッグで、埋立地から拾ったTシャツ7枚で製作したものです。
鎌田:埋立地に行く前にいろんな形でレスキューされていく服を目撃して、そのクリエイティビティーは本当にワクワクするものがありました。お直しをしていた現場の足元では、端切れをそのまま床に落とすのでマーケットの中が常時10cmから1mぐらい端切れが積み重なって、歩くとふかふかするんです。それが水分も含んで非常に強いにおいがする。その上マーケットの真ん中を流れている川にも端切れや売れない服がそのまま流れ込んでいくような状況です。ケニアに輸入されている服の3枚に1枚はポリエステル混であるといわれています。ケニアはゴミ回収と焼却、再生の仕組みが整っていないため、環境汚染や自公衆衛生上の観点から厳しくプラスチックを取り締まっているんですが、衣類は取り締まられていないので衣類の形をしたプラスチックが河川を汚染してしまう、あるいは土壌汚染してしまうということが一つの大きな問題です。