「グローバルノースの大量消費を解決するためにいるのではない」 古着の最終地点ケニアのデザイナーと現状を議論
WWD:色が印象的ですが、染色は植物染めですか?
マクレス:いいえ、現在は認証済みの染料を使っていますが植物由来というわけではありません。でも今植物由来の染料で鮮やかな色を出す方法を探しているところです。木の皮や植物を使ってできないかなどいろいろ試しているところで、近々お披露目できたらと思います。
WWD:ありがとうございます。もう一つ、「キコ ロメオ」の顧客層や販路についても教えてください。
マクレス:顧客基盤はとても広く、世界中に顧客がいます。共通点を挙げるとしたら、芸術性を大事にしている点。それから、自分の人生や未来を豊かにするような、投資対象として服を購入しようという価値観を持っている点。世界を旅して、地球環境やサステナビリティ、周りの人々に配慮した選択をしようとしている人たちですね。商品は公式ウェブサイトで販売しています。今まさに世界に販路を広げようと思っているところで、いつか日本でも実現したいです。
輸入される古着の質が低下 そのまま売れるものは2、3割に
WWD:彼女が生まれ育ったケニアは素晴らしい伝統工芸やクリエイティビティーに溢れる土地ですが、もう一つの側面としてファッション産業が生み出す廃棄された服の最終到着地点の一つにもなっています。鎌田さんのケニア滞在の様子をお話しいただけますか?
鎌田:ありがとうございます。私はファッション産業の透明性を高めるグローバルキャンペーン、ファッションレボリューションの日本の事務局をしています。イオナのお母さんが同団体のケニアの代表だったことから、彼女と出会うことができました。8月にはナイロビを中心にケニアのさまざまな場所を訪ねました。最初の写真は、ナイロビ市内の古着マーケットです。数字は50シリング、30シリングという値段です。1シリング大体1円くらいなので、50円、30円ですね。ケニアは物価も上がっていて、貧富の差は激しいんですが、われわれのような海外から行った人が訪ねるようなレストランやカフェでランチを食べると1500円くらい。東京とあまり変わらないですよね。一方で服がとても安い。その理由の1つが、欧米諸国から大量に輸入される古着です。これがモンバサというナイロビの近くの港に届いた古着のかたまりです。現地ではミツンバと呼ばれています。日本だとベールと呼ぶと思います。50kgぐらいのかたまりを2万、3万円程度で古着の業者が購入します。10年前は大体5、6割がそのままマーケットで売れたそうですが、現在そのまま売れるものは2、3割だそうです。それ以外のものは質が悪かったり、傷んでいたりする。街中にはミシンが並んでいるエリアがあり、そこではお直しが行われます。子供服の方が消費のスピードが早いので、大人の服をザクザク切って縫って子供服のサイズにしたりといったことも行われています。お直しをしているとはいえ、寿命が延びるのはすごく短い期間なのかなと思います。