福島第一原発事故から3年 始まりに過ぎない発電所の現状は?
福島第一原子力発電所の事故から3年経つのを機に、THE PAGE編集部は、同原発の敷地内をヤフー・ニュース個人のオーサー(書き手)らとともに取材する機会を得た。水素爆発で崩壊した原子炉建屋や汚染水処理の現状などについて、東京電力が「いろいろな人たちに、ありのままを見て欲しい」という理由だった。取材は6日午前9時からと指定されていたため、前日に東京から福島県いわき市入り。翌朝午前7時、オーサーらとともに同市から福島第一原発に向かった。
Jヴィレッジから福島第一原発へ
いわき市は、明治時代から昭和にかけて常磐炭田で栄え、かつては石炭によるエネルギーを供給してきた町だ。現在の人口は約32万人。原発が立地する双葉郡などから避難してきた住民の数は2万人を超えるという。いわき市から自動車で1時間足らず離れた場所に、原発事故の対応拠点となっている広野町の「Jヴィレッジ」がある。車を走らせ、午前8時すぎに「Jヴィレッジ」で、東京電力福島復興本社の石崎芳行副社長ほか広報担当者と合流した。 「Jヴィレッジ」では、福島第一原発に向かう前に「ホールボディカウンター」を受検する。「ホールボディカウンター」というのは、全身の放射線の内部被ばくを調べるための装置で、原発から戻って来た際に、再度受検し異常を発見するためにある。椅子に座るだけの検査で所要時間は1分。異常はなかった。 ここから福島第一原発までは、距離にして20キロほど離れている。
東電が手配したバスに乗り込み、国道6号を北上する。バスから降りることはなかったが、閉め切られた窓からは地震で壊れたままの建物や脇の道路への進入を防ぐ柵、除染した土を集積する場所などが見えた。沿道の楢葉町、富岡町、大熊町は避難指示区域になっているため、住民の人影はない。目にするのは、復興に関わる労働者ばかり。田は雑草に覆われて荒廃している。途中何か所かの検問があり、ものものしい雰囲気を漂わせていた。 原発に近づくにつれて、バスのなかの放射線量は上がっていく。福島第一原発に続く曲がり角はホットスポット的に高くなっているといい、高いところでは車内で14μSvを記録した。「事故直後は50~60μSvあったが、この3年で3分の1ほどに自然減衰している」と話した。 最後の検問を過ぎると福島第一原発に続く上り坂がある。そこから先は核防護のセキュリティ上の理由から撮影が制限された。