「大腸がん」死亡率、早期の便潜血検査で14%低下「積極的に大腸がん検診を受けて」
スウェーデンのストックホルム南総合病院の研究グループらが、「便潜血検査による大腸がん検診プログラムと大腸がんによる死亡率の関連を検討した結果、プログラム開始後5年間に初回の検診案内を早期送付した介入群では、対照群と比べて大腸がんによる死亡率が14%低下した」と発表しました。この内容について中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
ストックホルム南総合病院らの研究グループが発表した研究内容とは?
編集部: スウェーデンのストックホルム南総合病院らの研究グループが発表した研究内容について教えてください。 中路先生: 今回紹介する研究はスウェーデンのストックホルム南総合病院らの研究グループが実施したもので、研究成果は「JAMA Network Open」に掲載されています。 研究グループは、便潜血検査による大腸がん検診プログラムと大腸がんによる死亡率の関連を検討しました。その対象となったのは1938~1954年に生まれて、2008~2012年にスウェーデンに在住していた37万9448例です。 初回の大腸がん検診の案内を検診プログラム開始後5年間、つまり2008~2012年に送付した介入群20万3670例と、それ以降の2013~2015年に大腸がん検診の案内を送付するか、全く送付しない対照群17万5778例をランダムに振り分けました。 検診案内の送付は2年に1回10年間おこなうこととし、両群を他国への移住、死亡、2021年12月31日のいずれか早い時点まで追跡しています。 研究の結果、大腸がんが原因で死亡した数は介入群が219万589人(年の追跡で834例)でしたが、対照群では224万9939人(年の追跡で889例)でした。 追跡年数および到達年齢を調整した後の解析では、対照群と比べて介入群は大腸がんによる死亡率が14%有意に低下したことがわかりました。 大腸がんによる超過死亡者数は介入群で890.8例、対照群では975.4例と算出され、対照群と比べて介入群は大腸がんによる超過死亡リスクが16%低下していました。