50-60代夫婦に大きく影響! 遺族年金に関わる年金繰下げ問題が改正の方向へ
具体的な見直しはどうなるの?
12月10日の年金部会では、以下の2点が検討事項として示されました。一つずつ詳しくみていきましょう 1)老齢基礎年金については、繰下げ申出を認めることとしてはどうか。 遺族厚生年金を受け取っていても、自身の老齢基礎年金を繰下げできることになります。特に、国民年金保険料の納付期間に未納・猶予・免除などがあり満額受け取れない人にとって、繰り下げして増額できるメリットは大きいでしょう。 2)老齢厚生年金については、一定の条件を満たす場合において、繰下げ申出を認めることとしてはどうか。 おもに、2つの状況を想定しています。 1つ目の状況は、老齢厚生年金の受給権を獲得する前、つまり、65歳になる前に遺族厚生年金の受給権が発生した場合です。現行制度では、遺族厚生年金を受け取らずに、老齢厚生年金の繰り下げを行うことはできません。改正により、遺族厚生年金を受け取るかどうかを選択できることになり、受け取らなければ、老齢厚生年金を繰り下げできるようになります。 ただし、前述のAさんの事例のように、配偶者の死亡時点で就労をしていなければ、遺族厚生年金を受けとらない選択をするのは実際のところ厳しいのではないかと個人的に思うところです。 2つ目の状況は、老齢厚生年金の受給権の発生後、つまり65歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生した場合です。現行制度では、繰下げ待機中に遺族厚生年金の受給権が発生すると、繰下げが中断し増額が確定します。また、遺族厚生年金は老齢厚生年金相当額が支給停止となります。改正により、遺族厚生年金の受け取りを選択でき、受け取らなければ引き続き老齢厚生年金を繰り下げできるようになります。 この見直しによって、遺族厚生年金を受け取る人も、自分の状況に応じて年金の受け取り方を選べるようになる可能性が広がることは間違い無いでしょう。今後、見直し案がどのように着地するか、引き続き注目したいと思います。
三原由紀(プレ定年専門ファイナンシャルプランナー)