川崎駅隣接のモールにある「カワスイ」。パノラマスクリーンの展示でSF映画のような不思議な世界へ誘われ
世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく 【写真】オレンジ色のアフリカゾーン * * * * * * * ◆世界最大の湿地帯の1日を大画面で 目の前の大画面に、ブラジルの熱帯雨林を俯瞰した映像が展開される。世界最大の湿地帯であるパンタナルの1日を、ゆっくりと案内してくれる。 目の前の熱帯魚の水槽の水面下から覗くと、刻々と変化する風景を前に魚が泳ぐシュールな世界が目に浮かぶ。 これが面白くて、飽きることなく「4日」も見てしまった。今回のリード写真は、この水槽の水面をバックの映像の水と合わせて、モダン「借景」を利用して撮影した一枚だ。 すると親切なスタッフが、「もうすぐ閉館ですが、アマゾンナイトはもう行かれましたか」と尋ねてきました。ランタンを持って、幽霊のような川魚の水槽が並ぶ暗い通路を進み、ナマケモノやアルマジロなどを間近で見ることができる体験だという。
◆海辺、川辺に近寄れる新しい体験を提供 3年前にJR川崎駅隣接のモールで開業した「カワスイ」(川崎水族館)は、イルカショーなどの主役がいない小空間の水族館という課題を克服し、海辺、川辺に近寄れる体験をアピールして、新しい体験を提供している。 様々な展示室のデザインも、床や壁と照明も色コーデされていて、独特な空間を演じている。パノラマスクリーンゾーンでは、部屋に設置されているセンサーが来館者の動きを探知して、壁一面の大画面に映っている動物達が「反応」する。 時には水族館にいるのか、SF映画の中にいるのかを疑ったりもする。「カワスイ」は、昼も夜も不思議な世界へと導いてくれる。 (撮影=野辺地ジョージ)
野辺地ジョージ