「サッカーを続けようと思う気持ちを後押ししたい」。金崎夢生が小学生年代のサッカー大会に尽力する理由
サッカー熱に感じる欧州っぽさ
――今回の大会は、メインスポンサーのトヨタカローラ大分をはじめ、たくさんの地元企業やお店が協力してくれていますね。 はい。こういうところでもいろんな方に協力していただいて、開催を実現させることが出来ました。トヨタカローラ大分さんは、僕が大分でお世話になった方が紹介してくださったんです。そんなふうにさまざまなかたちで、お力添えをいただきました。 ――いまはヴェルスパ大分でプレーしていますが、トリニータ時代のファンやサポーターもたくさん金崎選手の応援に駆けつけているようですね。 そうなんです。チームが変わってもずっと応援し続けてくださったり、僕がこういう活動をしたいと話したときにもたくさんの人が協力してくださるので、本当にありがたいと思っています。 ――そういうファンや協力者も含めて、大分の人たちのサッカー熱は感じますか。 すごく感じますよ。スポーツの話題になると、やっぱりトリニータの話をする人が多いです。他の地域では野球やバスケットボールが根付いていたりもしますが、大分では古くからサッカー文化が、ある程度根付いている感触がありますね。ちょっとヨーロッパっぽい雰囲気を感じたりもします。ヨーロッパでは飲食店でもずっと試合映像が流れていて、みんな食事しながらサッカーの話をしているんです。成績のいいときも悪いときも、つねに日常の会話はサッカーのことで、街全体で地元のチームを応援している。そういう雰囲気に似たものを、大分では感じますね。
プロとのふれあいと真剣勝負の共存
――『エフ・キャンカップ』は全国各地で開催されているようですが、参加する少年たちの反応も、地域ごとに違っていたりするんですか。 全然違いますね。人懐っこかったり人見知りだったり、地域によって言葉遣いも違いますし、そういう地域性は感じます。大分の子どもたちは一見おとなしいんですが、「ちょっと気になってるんだよな~」という感じで勇気を出して質問してくれたりするんです。その、勇気を出して質問するっていうのが、なんかいいですよね。さきほどもちょっとそうやって触れ合ってきました。 ――どんなことを質問されたんですか。 シュートの打ち方とかが多いですね。いきなり元気に「どうやって点取るの?」と聞いてくる子もいるんですが、何も言わずにずーっと僕の近くをウロチョロしていて最後の最後に声をかけてくる子もいる。ああ、ずっとそれを訊きたかったんだなと(笑)。頑張って最後に勇気を出してくれてうれしかったです。 ――ゲスト参加する選手たちが実際にプレーをして見せることもあるんですよね。 そうです。一緒にプレーする機会も設けています。落合くんもサッカー界で幅広い人脈を持っていますし、毎回、多彩な豪華ゲストが来てくれるんですが、できれば開催地のクラブで活躍しているプレーヤーを多く呼べるといいよねと話しているんです。だから今回も、僕が一昨年、トリニータに帰って来たときに一緒にプレーしたメンバーに多く声をかけました。彼らも地元の人たちと触れ合うことができて喜んでいるみたいです プロのプレーヤーと子どもたちが触れ合う機会は普段はなかなかないので、こういう場があるのはいいなと思いますね。そういうゲストとの楽しい触れ合いがあるのと同時に「エフ・キャンカップ」は真剣勝負のカップ戦でもあって、その両方があるのがいちばんいいですよね。どちらかというと試合がメインで、僕たちがそれをサポートする。そういうかたちであることが、僕がこのプロジェクトに賛同して参加したいと思った最大のポイントでした。 ――少年サッカーの試合を見るときに、金崎選手はどういう目線になっているんですか。 どうかな……僕は相手が小学生だろうと中高生や大学生だろうと、同じ伝え方になってしまいますね。サッカーを上手くなりたいという気持ちは年齢に関係なく共通していると思うので、僕はいつでも自分の感じたことを率直に伝えるようにしています。 ――今回もたくさんのチームが参加していますね。 サガン鳥栖ジュニアのように県外のチームにも参加してもらって、大分の地元のチームと真剣にサッカーができる。そんな大会が、僕が小さい頃にはあまりなかったんです。僕が小学生だった頃、Jリーグの下部組織チームと試合ができるときにはすごく燃えていたので、そういう機会をこうやって作っていけば、きっと僕らがそうだったように彼らにも喜んでもらえると思っています。 落合くんから聞いた話ですが、子どもたちだけでなく、指導者同士の情報交換やスカウトの場にもなっているようです。みんなにとってアピールできる機会でもあります。