【玉ノ井親方 視点】尊富士は上半身が異様にでかく見える。逆に下半身が細く見えるくらい
◇大相撲九州場所10日目(2024年11月19日 福岡国際センター) 返り入幕の尊富士が10日目に勝ち越しを決めた。2敗をキープし、優勝戦線に絡む好調さを見せている。 3月の春場所では、110年ぶりの新入幕優勝を果たしたが、その場所で右足を負傷。7月の名古屋場所では左胸も痛めた。今場所は、体の状態は悪くないようだが、相撲内容は春場所の頃と比べるとまだ物足りない。 持ち味は、立ち合いで当たった後の押しの強さとスピード。しかし、5日目の湘南乃海戦のように、攻め込む途中で足がそろってバランスを崩し、はたき込みで敗れるもろさも見せた。 足がそろってしまったのは、ケガの影響というよりは、湘南乃海との対戦の経験が少なく、相手を見ようとして動きが慎重になった結果だろう。その敗戦以降は、足の運び方も改善され、日に日に安定感が増している。 場所前の稽古では、てっぽうを1000回以上もやったと聞いている。そのせいか、上半身が異様にでかく見える。逆に下半身が、特に膝から下が細く見えるくらいだ。 本人にすれば鍛え上げた上半身で、相手を下から突き上げていく相撲を取ろうと思っているのだろう。 あすからの終盤戦は1敗の豊昇龍、琴桜、隆の勝、そして2敗で続く阿炎、尊富士による星のつぶし合いになっていくだろう。尊富士は隆の勝と対戦を残している。もし隆の勝と当たって勝つようなら、終盤戦は上位と当てられることになりそうだ。(元大関・栃東)