【大学トレンド】増える「デジタル分野」学部の新設 その狙いを青山学院大の稲積宏誠学長に聞く
――青山学院大学といえば、一般的には「都会的でおしゃれ」「明るく自由」というイメージがあります。 それ自体は悪いことではないのですが、学びや研究のイメージが想起しにくいことに、歯がゆさを感じています。実際には教育にも研究にも注力しているのに、その印象によって、残念なことに学力の高い受験生に敬遠されてしまうことがあります。これを打破するために、学問の質の高さもしっかり主張していかなければなりません。私自身は関西の出身で、おしゃれな青学生のイメージには程遠かったですしね(笑)。 ――稲積学長はどのような若者だったのですか。 斜に構えていて生意気でしたね。会社員には向いていないと思っていたし、社会問題にアンテナを張り、問題意識を持って関わりたいという気持ちが強くありました。中学生の時には、水俣病の被害者がチッソに抗議して行動した「一株運動」に参加したこともありました。母に株の買い方を教わったことを覚えています。 私自身は都会的でおしゃれなイメージとは程遠いですが、もはや何もしなくても、本学の持つイメージは消えることはありません。だからこそ、そこにプラスしていきたいのは、「真摯な学び」の力です。 ――「真摯な学び」のために注力されていることは、どのようなことでしょうか。 まず「大学院を中心とする研究・教育環境の充実」です。本学の学びをリードする大学院を充実させることは、大学全体の学びを向上させるでしょう。加えて、全学で「データサイエンス・AI分野の強化」にも取り組みます。この分野では前述の通り、新学部設置も検討中です。人文社会系の学生が学ぶ青山キャンパスに、理系要素を併せ持つデータサイエンスの拠点をつくることで、互いに刺激し合い、学びを活性化させることを目指す構想です。 また、いま私たちがいる「マクレイ記念館」は、図書館や情報メディアセンターなどを集約した総合的な学術情報施設です。24年4月に開館したばかりですが、学生にはキャンパスライフの中心として積極的に活用してほしいですね。こうした多角的な取り組みで、これからの「新たな青学ブランド」を構築していきます。 ――「新たな青学ブランド」として、どのようなことを考えていますか。 すでにある青学生の持ち味として、優れたコミュニケーション力が挙げられます。これは企業にも高く評価されていて、「人当たりがいい」と言われることが多いです。協調性の高さはそれだけでも長所ですが、今後はここに力強さや、データサイエンスに裏打ちされた論理的な思考力などもプラスしたい。それこそが「青学らしいコミュニケーション力」だと言われるようになれば、学生に対する社会的評価もさらに上がるはずです。