プーチンに戦争を続ける「余力」はあるか。2025年初から分析するロシア経済の明暗
2025年のロシアはどうなる?「民需の盛り返し」の有無で見えてくるもの
2025年のロシア経済は、政府の予算ベースでは、引き続き軍需が膨張する方向にある。反面で、高インフレ対策のために中銀が高金利政策を継続するため、それが内需、特に個人消費や住宅投資を圧迫するだろう。軍需が高止まりする一方で、民需が圧迫されるという構図が継続するが、成長率そのものは2024年よりも低下する見込みだ。 このシナリオの通りなら、2025年もロシアの製造業の生産をけん引するのは、軍需に適うモノの生産になる。また自動車の生産も、トラックやトレーラー・セミトレーラーが推進力になるだろう。言い換えると、民需に適うモノの生産が盛り返すのは、「ウクライナとの戦争の在り方や、国内の経済・社会情勢の変化が生じる場合」に限られるだろう。 GDP(国内総生産)の成長率だけでは、ロシア経済の実像を捉えることはできない。生産統計の分析などで補完しなければ、冷静な判断は下せない。
土田 陽介