お義母さん、出て行ってください…55歳地方公務員の兄がまさかの急死→死亡保険金5,000万円が85歳母の元へ。逆恨みした兄嫁の「まさかの仕打ち」に家族総出で戦慄したワケ【相続の専門家は見た!】
兄嫁の怒りを買った
兄の死亡保険金は相続のみなし財産地として他の財産と合わせて申告をして、相続税を払う必要がありました。よって相続税の申告時に母親の受け取った相続税額が兄嫁にも知らされることになりました。その金額を知った時の兄嫁の怒りは相当にもので、なぜ、妻である自分の名義にしてくれていなかったのかと母親にくってかかる始末。 生命保険の担当者が言うには、亡くなる少し前に、兄から「受取人を妻に変える手続きをしたい」と言われていたと言いますが、仕事で忙しかったのか、手続きができないうちに急逝してしまったということでした。 しかし、亡くなった後、受取人を変更することはできないため、生命保険は母親が受け取る以外なかったのです。
同居はできない
そもそも父親が土地を購入して建てた家で、両親と兄、貴美子さんの家族が暮らしてきましたが、ずっと同居していた兄が、結婚してからも同居を続けてきたのです。貴美子さんは結婚して家から離れましたが、実家には都度都度帰って行き来をしてきました。 父親が亡くなった時、二次相続のことも考えると同居している兄名義にしておくと登記は一度で済むと手続きをしてくれた司法書士のアドバイスでそのようにしたのでした。 まさか、兄が母親よりも先に亡くなるなんて想定もしていませんので、母親も貴美子さんも自宅が兄名義になることに異論はなかったのです。 ところが、兄が亡くなった時の相続人は兄嫁と甥姪ですので、当然のごとく、実家の土地、建物は兄嫁が相続し、兄嫁名義になったのです。 母親は兄嫁よりもずっと前から住んでいるのに、名義がない状態です。 円満であれば母親も亡くなるまで自宅に住み続けることができたでしょうが、兄嫁から「一緒に住めないのでお義母さんは出て行ってほしい」と宣告されたのでした。 結果、母親は出ていかざるを得ず、80代ではじめて自分の家を買ってひとり暮らしをすることになりました。
母親の相続人は兄の代襲相続人も
母親の相続人は貴美子さんと兄の子ども(おい、めい)の3人になります。兄嫁は権利はないものの、子どもたちに助言をするでしょうから、円満にはいかないと母親は公正証書遺言を作成して、「財産は貴美子さんに相続させる」と記載してあると言います。 母親にとって孫である甥姪はかわいいものの、祖母よりも母親の意見が優先されるはずで、祖母にもいい感情は持っていないだろうと貴美子さんは予測しているといいます。 生命保険金で母親の自宅を購入しましたので、相続税の申告は不要な財産になっており、さらに現金を残さないように貴美子さんや貴美子さんの子どもに贈与しているといいます。 現在の遺留分予想額は預金の半分程度で払えると試算されましたので、貴美子さんも安堵していました。 そもそもは、父親が亡くなった時に、母親も住んでいるのに、自宅を兄ひとりの名義にしたことが発端だと言えます。相続の順に、自宅は夫から妻に相続させるとしないと貴美子さんの母親のように、兄嫁から追い出されるという事態になりかねないということです。 登記が一度で済むメリットよりも、母親が安心して住めることのほうを優先することが大事だと痛感した出来事でした。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子
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