フォンテインズD.C.が語るスマッシング・パンプキンズやKornからの影響――最新作「Romance」インタビュー
――プレスリリースには、「このアルバムでは、今までずっと言いたかったけれど、言えなかったことを伝えている」というコメントもありますね。
トム:そうだね、このアルバムは、今の僕たちの姿、今の僕たちがいる“居場所”を映し出しているような気がするんだ。自分たちの心の奥底から湧き出る感情に、嘘偽りなく向き合っている。自分たちの中で何が起こっているのか、今の僕たちが感じていることを、とても正直に、そして誠実に表現している作品だと思う。
――今回のアルバムの曲の中で印象的な歌詞、今の自分の心情を映し出している歌詞を選ぶなら?
カーリー:「I'm the pig on the Chinese calendar(僕は中国暦の豚)」(「Starburster」)かな?(笑)。いや、絞れないよ。でも、「maybe romance is a place」は気に入っている。歌詞を並べていくうちに、曲全体の風景が鮮やかに浮かび上がってきて、自分自身もその世界の中に引き込まれていった。まるで新しい自分に出会えたような感覚だった。「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」みたいに想像力の扉が開かれたというか、「もしかしたらロマンスは実在するのかもしれない」って思わせてくれる。つまり、イマジネーションが現実を彩り、新たな世界を生み出すんだ。
トム:「Horseness is the Whatness」だね。あの曲の歌詞は、客観的に見ても本当に美しい。このアルバム全体の核心を突いているような、強烈なインパクトがある。このアルバムの全ての瞬間を凝縮していて、心に深く残るんだ。
――ちなみに、2人にとって、今作のタイトルである「Romance」を別の言葉で言い換えるとするなら?
トム:「obsession」かな。「ロマンス」とは、ある種の強迫観念のようなものだから(笑)。
カーリー:「patience(忍耐)」だね(笑)。ロマンチックな関係は、ある種の計算や論理だけでは説明できない、少し狂気じみた要素を含んでいると思う。完璧な答えを求めるのではなく、自分だけの答えを見つけ出すような予測不能なもので、だからこそ面白いというか。流れに身を任せて、その時々を楽しみ、心の奥底から湧き出る感情を大切にする。「ロマンス」は、日常のルーティンから抜け出し、特別な瞬間を共有することで、新しい自分に出会う旅のようなものだと思う。今まで経験したことのない感情や価値観に触れることで、自分自身を成長させることができる、そんなエキサイティングな経験なんだ。そうして自分の中にある可能性を引き出し、新しい世界に飛び込むことで、人生を豊かにすることができるんじゃないかな。