フォンテインズD.C.が語るスマッシング・パンプキンズやKornからの影響――最新作「Romance」インタビュー
カーリー:「In The Modern World」もそうだと思う。あのストリングスのパレットは、ある意味、この世界の縮図のようなものなんだ。まるでこの世界の複雑で美しい混沌を映し出しているような、そんな感覚があのストリングスにはある。その感覚が、このアルバムの核となる部分を支えているのは間違いないと思う。
――前作「Skinty Fia」の制作では新たなアプローチとしてLogicが使われていましたが、今回の曲作りやレコーディングはどのようなプロセスで進められたのでしょうか。
トム:このアルバムでは、僕たちのこれまでの制作プロセスとは全く異なるアプローチを取ったんだ。通常は、みんなで顔を突き合わせて曲を書き、リハーサルを重ねて、最後にデモを作成する。でも今回は、曲を書き、一度演奏しただけでレコーディングに臨んだ。その後、ラップトップで編集し、メンバー全員で新しいレイヤーを重ねていった。そうして長い時間をかけてコンピュータ上で曲が作り込まれていった。だから、自分のパートを演奏するだけではなく、サウンド全体を俯瞰して、全ての要素を一つのサウンドとして捉えることができた。そうすることで楽曲全体の完成度を最大限に引き出すことに集中できたし、全体のストーリー性を意識して一貫性のある世界観を構築できたと思う。
――アルバム終盤の「Horseness Is The Whatness」をはじめ、メロトロンのビンテージな音色や、アコースティック楽器が醸し出すオーガニックなテイストも今作では印象的です。
トム:メロトロンは素晴らしいキーボードだよね。バンドのメンバーの中には、実際にメロトロンを手に入れた奴もいた。あれはまるで、本物の弦楽器を自由に操れるような感覚なんだ。素晴らしいストリングス・サウンドを手軽に作り出すことができる。レトロな雰囲気の音色で、アルバム全体に温かみをプラスしてくれたと思う。
――リヴァーブが美しい「Sundowner」では、カーリーがリード・ボーカルを担当しています。グリアン以外がメインで歌う曲はバンド初、になりますね。