甲本ヒロトと国会議事堂前で全裸撮影。バンドマンから48歳で弁護士になった男のロックな半生
「原発事故の責任はすべて電力会社が負うことになっていて、原発メーカーは一切責任を負わず、PL法も適用しない、と原子力損害賠償法で二重三重に保護されている。 これはおかしい、と世界中から約4200人の原告を集めて世界初の原発メーカー訴訟を起こした。政策や法律に影響を与えるために、弁護士主体で、あえてこういう裁判をやることは特に珍しいことじゃない」。 法律や社会通念が間違えていると思えば、弁護士だからできることを探す。一般的にお堅いイメージもある弁護士という職だが、意外にも「自由でクリエイティブ」なのだという。 「弁護士に必要なのはクリエイティブな発想力。新しい発想で新しい人権や法律論を打ち立てる。これが弁護士の面白いところなんだ。弁護士は国にも監督されない、監督官庁がない唯一の士業。 俺は法廷だって革ジャンで行くこともある。自分の責任で考えて行動できるという点では、バンド活動と共通しているね」。
原発メーカー訴訟で提示した新しい人権「ノー・ニュークス権」を周知するために立ち上げたバンド「NO NUKES RIGHTS」とジャンプスとで音楽活動も本格再開している。そんな島さんは、“憲法LOVE”だと強く語る。 「憲法13条の『すべての国民は、個人として尊重される』というフレーズはロックそのもの。岡林信康の『私たちの望むものは』の歌詞の通り、いい社会にするために個人が犠牲になるんじゃない、一人ひとりが幸せになることで、いい社会を実現すべき。こっちの方が大事なんだ」。 弁護士もバンドもギア全開で爆進する“ロックンローヤー”。最後に、オーシャンズ世代へのエールもいただいた。 「30、40代になると先が見えてきたと感じるかもしれないけど、それは錯覚。社会からは60歳で定年、“一丁上がり”みたいな扱いをされるから勘違いしてしまうんだけど、システム的にそう思わされてるだけ。みんなまだまだ持ってる力は凄いんだからね」。
◇ 「何かを始めるのに遅すぎることはない」とはよく聞くが、島さんほどそれを体現する人はいない。 「もうひとつ人生があったらどうしたい?」と自分自身に問いかけると、新しい人生が開けるかもしれない。 赤澤昂宥=写真 池田裕美=取材・文
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