長引く咳で眠れない… しつこい咳の原因はコロナ? マイコ?
猛暑続きの今夏、抵抗力が落ちてさまざまな感染症が大流行。回復期に入っても、ずるずると調子の悪さを引きずっている人が目立つ。なかでも多い症状が「長引く咳(せき)」。世界を股にかけて活躍するハーバード大学&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行ドクターにしつこい咳の原因について聞いた。 Q. 「暑い盛りに微熱が出て喉がかなり痛くなりましたが、風邪だと思って特に検査はせず家で安静にしていました。1週間ほどで熱や喉の痛みは治まったのですが、その後、咳が出始めて2週間ほど続いています。市販の咳止め薬を飲んではいますが、夜になると咳が出やすくなかなか寝つけず、睡眠不足が続いています」(53歳・Nさん) A. 「漫然と咳止め薬をとり続けているとかえって回復を遅らせることも。咳が2週間以上止まらない、咳で1週間以上眠れない場合は、ただの風邪ではないかもしれません。 血液検査と胸部の画像検査をおすすめします」(根来先生)
新型コロナ後遺症に多い慢性炎症による咳
「この夏は猛暑で体調をくずされた方も多いですね。熱中症や感染症にかかる人も例年より増えたようです」 ご相談者Nさんのように、新型コロナも5類になって以降、検査や診察で受診する人も減り、自分で様子を見る人が増えた。かく言う筆者も昨年末から正月にかけて風邪症状が出てひたすら家でじっとしていたが咳が長引いた。ひょっとして新型コロナだった可能性もあるのだろうか? 「ありますね。実際、隠れ感染者は少なくないと思います。7月あたりから第11波が到来して、僕も対応に追われる日々でした。 現在、新型コロナウイルス感染者の約8割を占めているのは、冬に流行していたオミクロンJN.1株から派生した変異株『KP.3』。僕の研究室でとったデータでは、主な症状として発熱と強い喉の痛みが2トップで、鼻水が止まらない、咳が続く、倦怠感、頭痛、下痢や嘔吐の順でした。 味覚や嗅覚の異常は少なく、一般的な風邪や熱中症と似た症状なので、検査をしなければ見分けるのは難しいです」 症状だけを聞くと、新型コロナも風邪と変わらないのではという気もするが。 「確かに重症化は減りましたが、咳が長引いたり、疲労・倦怠感が続いたりと、後遺症を引きずって全身状態が悪くなっている人が多い印象です。KP.3は学習免疫をかいくぐる力が増していて、これまでに新型コロナに感染した人もワクチンを打った人も大勢感染しています」