2050年に全国の約2割が「無居住化」!? 人口減少、少子高齢化…今後“日本が目指す姿”とは? 昨年策定された「国土形成計画」を解説
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。1月21日(日)の放送では、国土交通省 国土政策局 総合計画課長の倉石誠司さんを迎えて、「日本の未来が見える! 新たな国土形成計画」をテーマに話を伺いました。
◆2050年には全国の約2割が「無居住化」に…
国土計画は、その国土と人との関わり合いに焦点を当てながら、日本全土がバランスよく発展することを目指す、総合的かつ長期的な計画です。 初めて策定されたのは1962年。当時は「全総」(全国総合開発計画)と言い、その後、制度が改正されて、2008年には呼称が「国土形成計画」に変更されました。 また、社会経済状況の変化を踏まえて国土計画の策定がおこなわれ、昭和から平成にかけて7回、昨年7月には、令和になってから初となる8回目の国土形成計画が策定されました。 この新しい国土形成計画について、倉石さんは「スローガンのように掲げられているのは『新時代に地域力をつなぐ国土』です。地域力というのは、地域の課題を克服する“守りの力”と、地域の魅力を高め人々を惹きつける“攻めの力”を指します。こうした地域力を日本のすべての地域が持ち、国土全体にわたってつなぎ合わせて未来へつなげていこう、という思いが込められています」と説明。 また、日本の未来のためには“地域の活性化”が欠かせないポイントとし、「今、日本の国土をめぐる社会経済状況は大きく変化しており、時代の転換点とも言える局面、時代の重大な岐路に立っていると言えます」と強調します。 というのも、日本の人口は2008年をピークに減り続けていて、2050年には約4割が65歳以上の高齢者になるなど、少子高齢化が加速しています。 また、日本は巨大災害の発生リスクもあり、気候変動による危機もより深刻化しています。こうした影響は、東京一極集中といった国土構造の歪みと相まって、特に地方の生活、経済の存立そのものを脅かしていくことが心配されています。 倉石さんは「地方における人口の減少や流出が続けば、地域の公共交通や医療・福祉・介護など、生活に不可欠なサービスの利便性は低下し、さらに人口減少・流出の悪循環となります。こうした流れが続けば、2050年には全国の居住地域の約2割が“無居住化”することが推計されています。そうなると、その地域を管理することが難しくなるので、国土が再生困難なくらい荒れてしまう可能性もあります」と語ります。 一方で、「コロナ禍を契機としたデジタル化が進み、テレワークの普及などによって、人々の暮らし方・働き方が変化してきました。また、若者世代を中心に、田舎暮らしへの憧れやローカル思考が広がりつつあり、人々の価値観や行動様式に変化の兆しが少しずつ見え始めています」とも。 こうした時代の背景を踏まえて、今回の国土形成計画では『新時代に地域力をつなぐ国土』を日本が目指す姿として掲げています。その姿を形成していくことによって、結果として「活力ある国土」「災害などに強い安全・安心な国土」「個性豊かな国土」を作り、日本の国土全体の課題解決、魅力向上につなげる狙いがあります。