2050年に全国の約2割が「無居住化」!? 人口減少、少子高齢化…今後“日本が目指す姿”とは? 昨年策定された「国土形成計画」を解説
◆「共助」の考え方で魅力あるまちに変化
番組後半では、モデル地域として全国に先駆けて課題解決に取り組み、魅力を倍増させている地域の事例を紹介。 倉石さんが挙げたのは香川県三豊市です。以前は、三豊市も他のローカルエリアと同様、人口減少に伴うさまざまな課題をもつ自治体でしたが、「近年は、三豊市と地元企業などが共に助け合う『共助』の考え方を取り入れた、さまざまなサービスを提供するようになり、活気を帯びてきています」と言います。 その1つが、地元企業ら13社が出資したAIオンデマンド交通サービス(mobi)です。同サービスは、「お迎え地点」と「行き先」を指定するだけで迎えに来てくれるエリア内・定額乗り放題のシェア(相乗り)移動サービスです。コミュニティバスより使い勝手がよく、タクシーよりも気軽に使えるメリットがあります。 また、AIを搭載したシステムによって、常に成長しながら“最短ルートの選択”などの更新が可能なので、お迎えまでの待ち時間が短くて済むなど、ユーザーの暮らしに合わせた使い勝手の良い地域交通になっています。 続けて倉石さんは「三豊市には共助の考え方で構築されている市民大学(瀬戸内・暮らしの大学)もあります。18の企業や個人の出資によって2022年7月に設立され、年齢や職業に関係なく“瀬戸内での暮らしを豊かにする学び”を提供しています」と説明。 ほかにも“空き家の活用”や“移住・仕事マッチング”の取り組みが進められています。さらには、サービス事業者が持つデータを効率的にやりとりするための基盤のシステムを三豊市が構築するなど、民間主導のプロジェクトを、行政が側面支援する官民パートナーシップにも取り組んでいます。 その努力が実を結び、三豊市が実施するアンケート調査などによると、2017年度の移住者が93人だったところ、2021年度は305人に増加しました。 コロナ禍以降、都市圏で暮らしている人の地方移住への関心が高まっています。改めて倉石さんは「国土交通省でも、二地域居住などの多拠点居住を推進することは、個人の多様なライフスタイルを実現することに加えて、地域を支える人を増やすことにもつながり、より良い地域づくりのための有効な手段だと考えています。そのため、二地域居住などのハードルを下げるために、『住まい』『仕事』『コミュニティ』に関わる新しい制度づくりを進めていきます」と力を込めていました。