ウクライナ戦争ドローン最前線を「新しい中世」という視点から解き明かしてみる【後編】
ウクライナ軍電子部隊から発せられる妨害電波で、ロシア軍ドローンが飛べなくなった。そこに、ウクライナ軍ドローン部隊の各種FPVが飛翔を開始する。 ウクライナ軍のFPV自爆ドローンが、次々とロシア軍塹壕の入り口に殺到して、破壊開始。 無害化されたロシア軍の塹壕には、ウクライナ軍の電子部隊兵士が歩兵と共に進出。すぐにロシア軍ドローンの飛行不能空域を前進させる。 「ロシア軍の防衛ラインを乗り越えて、どんどんと進撃していきました。そして、⑥長距離自爆ドローンがロシア軍の飛行場を攻撃し、滑空爆弾を破壊となります」(部谷氏) ロシア空軍の射程70kmから投下する1トン滑空爆弾は、塹壕にいるウクライナ軍電子部隊には脅威だ。それが落ちて来ないように先手を打つ。 「最前線のドローンパイロットは、中継アンテナを搭載した母機と支点アンテナを搭載した子機に分かれる形の親子ドローンを飛ばし、電波の届く距離を伸ばします。そして、⑦FPV自爆ドローンが16km先のロシア軍部隊を撃破です」(部谷氏) 最前線から16km先のロシア軍、おそらく砲兵部隊、指揮所、弾薬、燃料集積場を狙うのだ。 「それが終わるともに、⑧機甲部隊が一気に突破です」(部谷氏) ウクライナ軍機甲部隊の戦車、装甲車は、上空からロシア軍自爆ドローンの攻撃を受けずに、安心して前進する。そこにいたロシア軍部隊の兵士はなす術がない。敵が来るのを発見する手段、目と耳を塞がれ、口となる通信も不通にされている。 「そして、仕上げです。⑨最後に火砲とハイマース部隊が侵攻し、ドローン情報を元に攻撃となります」(部谷氏) そのロシア軍の正確な位置は、ウクライナ軍の偵察無人機が知らせてくる。 こうして、8月6日からウクライナ軍六個旅団1万5000人のクルスク奇襲は成功した。その先陣を切ったのが、ウクライナ軍のドローン部隊だった。しかし、もちろんロシア軍も黙っていない。 ■ロシア軍ドローン部隊の逆襲