没後5年。命を無心に描いた不世出の日本画家「堀文子」を知る|堀文子「命といふもの」描きおろし原画『秋の実り』
【企画展】堀文子の仕事 こどものための絵本原画展が開催
「子供にとって、絵本の絵はこの世で知る最初だから、最も良いものをみせなくてはいけない」と堀さんは晩年のインタビューで語っている。手掛けた絵本や挿絵の数々は精魂込めた作品だった。 企画展「堀文子の仕事 こどものための絵本原画展」は11月14日(木)から27日(水)まで、東京・銀座のナカジマアートで開催。『グリム童話2』挿絵(上「ヘンゼルとグレーテル」)、野口雨情『どうよう』装幀画など、昭和25年頃から20年余りの間に手掛けた、色鮮やかな絵本の原画を35点公開する。 ◆ナカジマアート 住所:東京都中央区銀座5-5-9アベビル3階 電話:03・3574・6008 開館時間:11時~18時30分 料金:無料 定休日:無休 交通アクセス:東京メトロ銀座駅より徒歩約1分
『サライ』で長期連載「命といふもの」とは
平成16年から10年間、堀文子さんは小誌に画と文による「命といふもの」を連載していたが、堀さんは「毎回、描き下ろしでやりたい」と条件をつけた。 《今まで、心にしみていながら絵にしなかったものが、私には山ほどある。それをこの小さな舞台に引き出すことにしよう》(『命といふもの 堀文子画文集』) ◆秋の実り 蕪にシメジ、柿に柚子。堀さんが選りすぐった「秋の実り」が並ぶ。シメジひとつをとっても、堀さんはいくつもの中から、心が動かされた色形のものだけを選んで描いた。 同作は、『サライ』2009年1号に掲載。《衰えと手をたずさえ、日々のしくじりを笑い乍ら、私も終りの旅を続けようと思う》と老いについての心境を綴っている。 リビングルームにも合う、額装した堀さんの絵『秋の実り』。堀さんが描き出した瑞々しい植物の色や形は、部屋の雰囲気を変えてしまうほどの迫力がある。 作品の裏には、堀さん直筆のサインと作品名が入る。
サライ.jp