7失点で青森山田に敗れた旭川実で可能性を示した大型レフティ。「関東1部でプレーできるCBになりたい」。MF澁谷陽が描く未来予想図【総体】
夏の大舞台で全国基準を知れたのは大きい
[インハイ1回戦] 青森山田 7-1 旭川実/7月27日/JヴィレッジP3 高校サッカー界の“ラスボス”とも言われる名門校は強かった。 【画像】堀北・ガッキー・広瀬姉妹!初代から最新19代目の藤﨑ゆみあまで選手権「歴代応援マネージャー」を一挙公開! 7月27日に福島県のJヴィレッジなどで幕を開けた令和6年度全国高校総体(インターハイ)の男子サッカー競技。夏の日本一を決める大会に臨んだ旭川実だったが、青森山田に1-7で敗れて初戦敗退となった。 開始7分で2失点。なんとか耐えて後半5分に1点を返したものの、同9分からわずか10分間で3失点。35分ハーフでは致命傷となる連続失点で、ビハインドを跳ね返す力は残っていなかった。 試合終了のホイッスルが鳴ると、選手たちはうなだれ、チームを率いる富居徹雄監督も力の差を痛感。この敗戦を次に繋げるしかないなかで、可能性を示した選手もいる。それが、右サイドハーフでプレーしたMF澁谷陽(3年)だ。 189センチの長身は一際目立つ。青森山田戦ではフル出場を果たし、持ち味の左足のキックやサイズを活かした空中戦の強さを披露。相手の素早い寄せと強度の高い守備に苦戦し、ゴールに絡めなかったものの、十分に上のステージを目ざせる才覚を感じさせた。 北海道コンサドーレ室蘭U-15出身の澁谷はU-18チームへの昇格を逃したが、「自立する部分が足りていない」という想いで親元を離れて旭川実に進学。入学した時点で178センチあった身長は、2年間で10センチほど伸びたが、その影響でしっかりとトレーニングができず、様々なポジションでプレーしてきた。それでも、今年1月にはU-17日本高校選抜候補に選出されるなど、才能に疑いの余地はない。 迎えた今季は身体の成長が止まったことで継続して試合に絡めるようになる。高いキック精度を買われ、右サイドハーフのレギュラーとして経験を積んでいる。 インターハイはあまりにも早い終戦となったが、夏の大舞台で全国基準を知れたのは大きい。将来的に本人はサイドハーフや最前線ではなく、CBとして飛躍することを思い描く。指揮官も「成長期の関係で起用法が固定できず、サイドハーフだけではなく、ボランチやフォワードでも使ってきた。でも、将来的には後ろのポジションになるのでは」と話しており、高さと技術を兼ね備えたプレーヤーが目ざすべき選手像となる。 「大学では関東大学リーグ1部でプレーできるセンターバックにまずなりたい。そのためにはフィジカル面を鍛えないといけないので、筋肉を強化したい。あとは守備の対応力を日頃の練習から意識高く取り組む必要がある。(ステップワークなども)しっかりとやらないといけない」(澁谷) 夏の悔しさをバネに、今後どのような成長を遂げていくのか。189センチで左利き。その才能を磨き上げれば、プロの世界で戦うだけではなく、日本を飛び出していくポテンシャルすらある。 澁谷の戦いはまだ始まったばかり。今はまだ荒削りな才能だが、大器の片鱗を垣間見せた男の可能性は無限大だ。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)