箱根路の2区は「権太坂」「戸塚の壁」、5区6区は身を削る戦いから8区の「遊行寺坂」へ…坂を攻略せよ
2025年1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は、往・復路の計217・1キロ(往路107・5キロ、復路109・6キロ)で争われる。各区ではコース条件が変わり、勝負どころではいろいろな「坂道」が選手の前に立ちはだかって、いくつものドラマが生まれてきた。そんな「坂」を主なキーワードに各区を紹介する。(デジタル編集部) 【表】第101回箱根駅伝エントリー選手一覧
1区(大手町~鶴見 21・3キロ) 勝負どころは「六郷橋」
レースの流れを大きく左右すると言われる1区には、チーム屈指のスピードランナーがそろう。都心のビル街を抜ける平坦なコースで走りやすく、集団からどこで飛び出すかの駆け引き、戦略が重要となる。
前半の7キロ過ぎ、品川駅を過ぎた新八ツ山橋の上り坂や18キロ付近、東京都と神奈川県の県境の多摩川にかかる六郷橋の下り坂はポイントになりそうだ。六郷橋は上りも下りも意外に急こう配で、渡る手前の上りか、橋を渡り終わっての下りのアップダウンがスパートのタイミングだ。ここから鶴見中継所までの約2キロのスプリント勝負も見どころとなる。経験者いわく「区間賞を取れればいいが、まずは出遅れないこと」が肝要の区間だ。
2区(鶴見~戸塚 23・1キロ) 「権太坂」を越えた先にトドメの「壁」
各校のエースが顔をそろえる「花の2区」は9区と並ぶ最長区間。序盤の流れを作る重要な区間で「ごぼう抜き」も生まれやすい。
駅伝ファンにおなじみの「権太坂」は、14キロの「狩場町交差点」を過ぎた辺りから本格的な坂となり、約1・5キロで20メートルほど上る。
権太坂を走り切っても、気が抜けない。本当の試練はその先にあるからだ。20キロ付近から戸塚中継所までの3キロ区間は、近年は「戸塚の壁」と呼ばれる場所で、約1キロごとにアップ、ダウン、アップをしながら高低差40メートルを上り、特にラスト800メートルの急な上りでとどめを刺される。
1991年の第67回、早稲田大の1年生、櫛部静二選手(現・城西大監督)が体調不良のため、中継所まであと300メートルの場所で失速してふらふらになる、衝撃のシーンがあった場所だ。ハイペースで飛ばしていくスピード区間だけに、最後の3キロをしっかり上れた選手が真のエースの称号を手にする。