山本尚貴、スーパーフォーミュラ ラストレースへ
結果、山本が0.6秒差で逃げ切り、自身2度目のチャンピオンを獲得。パルクフェルメでは緊張から解き放たれて嬉し涙を流していたが、実はマシンを降りた後すぐにキャシディのもとへ握手を求めにいく姿があった。実は2015年の最終戦鈴鹿で自身2勝目を挙げた時も、ガッツポーズをする前にチャンピオンを獲った石浦宏明のもとへ歩み寄り、彼を祝福していた。
こういう自分のことよりも周りのことに意識を向ける山本の姿が、スーパーフォーミュラの現場ではよく見かけられた。実際に、翌2019年も同じキャシディとの王座対決では惜しくも敗れる結果となったが、この時もキャシディの元へ歩み寄り健闘を讃えあう姿があった。 2019年の山本vsキャシディ王座対決の詳細はこちら
そして、山本と鈴鹿サーキットのドラマで記憶に新しいのが今年の開幕戦だろう。2023年のSUPER GT第6戦での大クラッシュで重傷を負い、シーズン終盤は戦線離脱を余儀なくされた。
そこから2024年の復活に向けて手術とリハビリを続けて、何とか開幕前の公式テストから参加することができた。とはいえ、首の痛みを伴っている状態でトレーニングも通常メニューに戻せていなかったとのこと。それでも、予選で5番手につけると、決勝ではポジションを上げて3位表彰台を獲得。その姿に感動したファンも多かったことだろう。 詳細はこちら
こうして多くのファンを魅了してきた山本だが、国内トップフォーミュラで戦うのは今週末の鈴鹿が最後。山本も自身のInstagramでこのように綴っている。
「最後のSFでのレース、どんな結末が待っていようとも自分らしく、そして持てる力をこのチームで全て出し切ってSFを降りようと思います。」
彼がスーパーフォーミュラを降りることに対して寂しい思いを持っている人や、彼に対して感謝している人…今回の発表について、さまざまな思いを持っていることだろう。
コメントにもあるように、どんな結果になろうとも彼がスーパーフォーミュラで戦うのは今週末が最後。15年のストーリーがどういう形で締め括られるのか。私は最後までしっかりと見届けたいと思う。
文:吉田 知弘
吉田 知弘